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■会派代表一般質問 古谷やすひこ議員 2025.9.12

古谷議員:山中市長の二期目がスタートしました。私たちは、一期目と同様、山中市長に対して文字通りの是々非々の立場でチェック機能を果たしていきたい。

まず18歳の小児医療無料化助成の拡充について、市長選の直前で開かれた第二回定例会で出された請願で拡充について、自民党も公明党も立憲民主党も維新の党などで反対されました。しかしその後の市長選で山中市長が公約として掲げられたわけですから実現をはかっていただきたいと思います。私たち日本共産党は、小児医療費の当面3歳まで無料にと予算要望したのは1973年のこと。それ以来、一貫して対象年齢の引き上げと所得制限や一部負担金の撤廃など、お金の心配なく子育てできる環境をと拡充を求め続けてきました。市民の皆さんから出された請願に、会派としては私たちだけしか賛同しないことも長く続きました。そんな歴史をみれば、本当に感慨深いです。しっかり市民の声を聞いて一刻も早く実現していただきたいと切に要望します。質問に入ります。

物価高騰対策の具体化を問う

古谷議員:①「物価高騰対策」について、第二回定例議会でも第三回定例議会でも、賃上げ応援の融資メニュー以外、物価高騰対策は何も提案されていません。先日の議案関連質問で我が党の「融資ではなく補助金で支援するべき」と求めたものに対して、市長の答弁もあまりにも冷たすぎて「稼ぐ力を強化する」んだとという答弁で、厳しい零細企業の経営実態に市長はもっと寄り添うことを要望します。市長選の公約として掲げられた「物価高騰対策」は、当然当初予算が執行されているのちに出されているものですから、まさか当初予算で組まれて執行しているものを公約として掲げられたわけではないはずです。結局市長が公約で掲げた物価高騰対策は市として何を実行しようとしているのか伺います。

山中市長:今後の物価高騰対策とのことですが、生活者支援並びに事業者支援という両面から市民の皆様の暮らし、そして事業者の皆様の活動を市としてしっかりとお支えしていくという考え方を重視し、これまでも対策を図ってきたところでありますが、これからも財源を確保しながら当初予算での総合的な対策をはじめとして、年間を通じた適時適切な時期での必要な対策を実施してまいります。

特養入所待機期間の大幅短縮への方策は

古谷議員:②また市長は公約の中で「特養の入所待機期間の大幅短縮」について打ち出されました。ぜひ実現してほしいと思いますし、市長を応援された会派の皆さんも当然そう思っているのだろうと思います。しかしどう具体化をはかるのかがよくわかりません。これから老齢人口は高い水準で推移し続けます。サービス提供側も、介護報酬が実質マイナスで在宅サービス事業所が減り従事者も増えず縮小しています。この介護事業の苦境を打開できなければ、市長がお言葉で述べていた「安心して歳を重ねられる」横浜にはなりません。新潟の村上市では2024年度介護報酬改定で基本報酬が下げられた訪問介護の事業所に対し、独自の支援金を支給しています。事業所の負担軽減と訪問介護サービスの維持が目的です。介護保険のサービス提供事業者の危機的な経営実態をつかみ直接支援することが必要ではないか。見解を伺います。そして市長が掲げる「特養の入所待機期間の大幅短縮」を実現するには、特養の整備数を増やすことも必要だと考えるが見解を伺います。

山中市長:介護事業所の厳しい経営実態を把握した上で、直接支援すべきとのことですが、介護事業者から寄せられている声などを通じて事業所の経営が大変厳しい状態にあることは承知しております。本市では国の臨時交付金を活用した高齢者施設等物価高騰対策支援金の支給や、職員の処遇の改善につながる介護報酬の加算の取得に向けた支援を行っております。引き続き、事業所の経営状況を注視してまいります。

特別養護老人ホームの整備数を増やすべきとのことですが、入居までの期間がある入所待機者の状況を分析進めております。その結果、医療的なケアが必要だったりあるいは認知症状などがあったりして入所に至らない方というのがいらして、方々というのは一定数おられます。そして特定の機関、特定の施設の空きを長期間お待ちになっている方も結構いらっしゃいます。ですので、待機者の個別の状況に合わせて、丁寧な支援を行っていくことが必要かと考えます。

待機期間の短縮に向けて、あらゆる対策を講じ今、6・7ヶ月の平均待機期間でありますがこれを大幅に短くできるよう、市としても尽力をしてまいります。

地域交通確保と市の積極的関与を

古谷議員:③また市長は公約で「地域交通の確保 交通アクセスを改善」と掲げられています。これは一期目の山中市政の大きな前進面だと思います。今まで動かなかった地域交通事業が大きく動き始めたもので高く評価します。しかしながら、この事業があまりにも事業者任せ、住民任せになりすぎていないでしょうか。住民への周知などの広報にもっと市が積極的に関与すべきではないかと思います。地域交通を走らせることで大きなネックになるのが例えばバス停の設置について、いかに視認性の高い宣伝効果もあるものを設置できるかが大きなカギだと思いますが今はすべてが事業者任せで、見えない目立たないバス停になってしまっているところもあります。もっと地域挙げて協力を呼びかけるものであるべきだし、広報よこはまで掲載するだけにとどまらず住民への啓発はもっと市が関与して取り組むべきと考えるがどうか伺います。

山中市長:地域交通の利用の促進に向けまして市が積極的に広報に関与すべきとのことですが、地域交通を地域にしっかりと定着させていくために地域の皆様が主体となって、運航事業者と連携をしながら広報周知を行っていくことを基本としております。市としても地域が行う利用促進の取り組みに要する費用の補助や、伴走支援を行っているところであります。しかしながらゴールは使っていただくことでありますので、私としても地域交通を重要な交通手段として捉えておりますし、交通空白地帯を埋めていくための取り組みとして、地域交通の加速を図ろうとしているところで、広報の不足によって民間の広報の不足によって利用が伸びないのであれば、市としてもいろいろ支援を充実していく必要があろうかと思います。

地域交通を拡充させていく上で、様々な方策を考えたいと思います。

市長の現状認識は

古谷議員:①「このままでは、ある日突然、病院がなくなります」――日本病院会など病院6団体の訴えが各界に衝撃を与えています。国が決める診療報酬が、物価高も賃金上昇もまともに反映せずに低く抑えられているために、急激に病院の経営悪化が進み7割の医療機関が赤字の状況、そんな中診療科の休止、入院患者受け入れの制限、救急医療の廃止などの事態が全国に広がっているのです。ボーナスカットや賃下げを受けた医療従事者の大量離職も起こり、日本の医療は崩壊の瀬戸際にあります。本市の医療機関の状況も同じです。医療機関の経営状況の危機的状況について市長はどうとらえているのでしょうか、市長の認識を伺います。

山中市長:医療機関の厳しい経営について、ご質問をいただきました。厳しい経営状況に対する認識についてですが、患者の高齢化やコロナ禍以降の受療行動の変化、また生産年齢人口の減少などによって医療人材の確保が困難さを増すなど、病院はこれまでの運営方法の見直しが必要な状況に直面しております。これらに加えて物価高騰、賃金上昇の影響も受け、大変厳しい状況におかれていると認識しております。

社会保障費削減と市独自支援を

古谷議員:②また、昨年の衆院選後に、自公維で4兆円の削減を約束されたり、先の参議院選挙でも、社会保障費の削減ありきの論が相次いで出されています。もしその通り、社会保障費削減が進めば、医療崩壊が進んでしまいます。私たち日本共産党は、これ以上の社会保障の改悪は許されない、医療提供体制を守るべきと考えますし、市長もその立場に立つべきだと考えます。そのために水道料金の減免など、市としてできる支援策を今すぐにやるべきではないか、見解を伺います。

山中市長:市としてできる支援策を行うべきとのことですが、これまで診療報酬の抜本的な改善や臨時的な財政支援等につきまして、繰り返し国に要望を行ってきております。また産科分娩施設への安定運営に向けた各種の助成に取り組んだり、あるいは小児救急への支援の充実にも取り組んでまいりました。さらに病院それぞれの特徴を生かして、地域全体で患者を支えていく地域完結型医療を推進して、医療の効率性を高める取り組みを東部病院を中心とした地域で先行実施しております。今後もこういった取り組みをさらに、発展拡大させまた関係機関と連携することで必要な取り組みを進めてまいります。

対策の検証と児相体制強化

古谷議員:①相次いで起こった性加害行為がよりによって、学校現場や児童相談所という子どもたちをもっとも守るべき現場で子どもに加害を及ぼしたことについて、どう対策を打つのでしょうか。その際、今までやってきた対策がどうだったかについての客観的な振り返りや分析はできているのでしょうか。それなくして、今までやってきた対策にまた対策を重ねるようなやり方では全くうまくいかないと思います。そのうえで、今回の児童相談所の事案をみると、夜間の宿直で大事な子どもたちの見守りは全て非常勤頼みになっていることに、あらためて驚きました。またそもそも、児童相談所の人員体制は国が求める人員体制を満たしていません。さらに配置されている専門家も非常勤の会計年度職員の身分です。これでいいのでしょうか。現状では人数も足りないし不安定な非常勤の会計年度任用職員の配置で、専門家を増やしきちんとした処遇にするべきです。市長、「子育てしたい街」と言いながら、もっとも子どもたちを守るべき児童相談所の体制こそしっかり構築していただきたい。児童相談所の現場に配置する専門家の処遇と人員の拡充を行うべきと思うが、見解を伺います。

山中市長:性犯罪対策についてご質問をいただきました。児童相談所の現場に配置する正規職員の専門職を従事すべきとのことですが、児童相談所では一時保護中の児童の生活支援を行う、社会福祉職や保育士をはじめ虐待の相談対応を行う児童福祉士や児童心理士など正規・非正規を問わず多様な専門職が連携をして児童の支援を行っているところであります。すべての職員を対象とした専門研修やスーパーバイザーによる指導など、人材育成をさらに強化していきますし、また支援の質の維持並びに向上を図って子どもの安全と安心を守っていきたいと思います。

市民意見の反映方法は

古谷議員:①IRカジノ構想が4年前の市長選挙の結果、消え去り、現在山下ふ頭再開発の具体化が始まろうとしています。そんな中、市民参加の検討会が行われるということで、今までにはない、幅広い市民の声をより広く聞こうという取り組みの視点は評価します。そこで、市民検討会で出される意見がどのように事業計画に反映されていくのか、さらに市民意見を聞くことを重視しているというのであれば、実際の事業計画検討委員会に市民代表の委員が入るようにするべきではないか?

山中市長:山下ふ頭の再開発についてご質問をいただきました。市民検討会で出された市民意見の反映についてでありますが、市民検討会は幅広い世代の市民の皆様にご参加をいただいて、答申を踏まえた基本的な方向性について複数回の議論を通じて新たな視点やアイデアをいただくことを目的としております。検討会を通じて市民意見の深度化を図り、議論を重ねて事業計画案を作成していくことで市民意見を反映したまちづくりにつなげてまいります。事業計画の策定に向けても、市民参画の機会を確保すべきとのことですが、令和5年から3年にかけて2回の意見募集並びに、9回の意見交換会を実施して1万件を超えるご意見をいただきました。そしてこれらが反映された検討委員会の答申をもとに、市として基本的な方向性をまとめ改めて市民意見募集を実施いたしました。その上で市として初めて行う市民検討会の取り組みにおきましては、年代とか居住区とか偏りなく選出して市民の皆様の検討会を構成し、そして意見、声を伺っていきたいというふうに思っております。今後の事業計画案に対してご意見を伺いながら計画を策定してまいります。

関東大震災時の虐殺と市の姿勢

古谷議員:①1923年9月1日関東大震災が起りました。死者行方不明者は10万5千人を超え明治以降の日本の地震被害としては最大規模の被害と言われています。そんな中で当時の朝鮮人中国人日本人の聾啞者などが虐殺された事件がありました。まさにデマにより殺人が起ったものだと考えます。市長の見解を伺います。

また横浜でも虐殺の事実があったことを、「関東大震災時朝鮮人虐殺の事実を知り追悼する神奈川実行委員会」の山本すみ子代表と一橋大教授の故カン・ドクサン氏の共編の新史料「神奈川県 関東大震災 朝鮮人虐殺関係資料神奈川県関東大震災」で、神奈川県知事から内務省へ送られたとみられる報告書を掲載して明らかにしています。内閣府中央防災会議の専門調査会の報告書では、関東大震災の教訓として「過去の反省と民族差別の解消の努力が必要」とあります。市として史実を調査し向き合うべきではないか、見解を伺います。

山中市長:デマの流布についてご質問をいただきました。関東大震災当時、殺傷事件が発生したことへの認識についてでありますが、関東大震災当時デマなどによる殺傷事件があったという記録が残っていることを承知しております。本市としては、悪質なデマが流されることやデマによる市民の皆様の混乱を防止するよう取り組みを進めることが大変重要であると考えております。史実を調査して向き合うべきとのことですが、横浜市史に記述がありますが現在も震災などの際に根拠のない悪質なデマが流れる事例があることを憂慮しております。そのため日頃から電デマに惑わされず冷静に判断をするよう、呼びかけるなどの取り組みをしっかりと行っていくことが大切であろうかと思います。

外国人生活保護に関するデマ対策を

古谷議員:②デマの流布という点では、今回の参議院選挙で生活保護で外国人が優遇されているなどの言説がありましたが、それは事実なのかどうか伺います。そして事実でないならば、市としていち早く啓発することが必要です。そのことは市として率先して取り組まなければならないと思いますが見解を伺います。

山中市長:外国人への生活保護実施における優遇の有無でありますが、生活に困窮する外国人への保護は発出されている厚生省社会局長通知に基づいて、生活保護法の取扱いに準じて行っているところであります。外国人への保護の実施にあたっては日本人の生活保護と同様の要件としているため、優遇しているということはございません。事実に基づかないデマの流布を防止するため啓発を強化すべきとのことですが、不確実な根拠に基づいて偏見や差別を助長するような情報を発信し、また拡散していくことは重大な人権侵害であるというふうに考えます。本市では横浜市人権施策基本指針に基づいて、市民の皆様や事業者に対して啓発などの取り組みを通じて差別のない人権尊重の社会の実現を目指しております。今後も指針の理念を踏まえて市職員への研修並びに、市民の皆様への啓発をしっかりと行ってまいります。以上、古谷議員のご質問にご答弁を申し上げました。

医療機関の厳しい経営問題について再質問

古谷議員:市長ご答弁、ありがとうございました。医療機関の危機の問題について伺います。先ほど医療機関側にも、変化を求めるというようなことも伺いましたが、それはちょっとやっぱり違うと。やっぱり明らかに診療報酬が実態に合わないから、今経営実態が厳しい状況になっています。ぜひ今すぐ市ができることを、市長も今ぜひ検討いただきたいですしやっていただきたいというふうに思います。伺います。

山中市長:先生がおっしゃる通り、診療報酬の抜本的な改善が問題の根っこであります。ですので、本市としても診療報酬の抜本的な改善について今後も繰り返し、国に要望を行ってまいります。そして臨時的な財政支援を求め、困っておられる医療機関に対する支援策を行っていきたいと思います。そして市としてこれまで行ってきた取り組みをさらに継続し、また発展させていくことにつきましては、先ほど申し上げましたとおりです。以上、古谷議員の再質問にお答えをいたしました。