
東部斎場(鶴見区)の開所は予定通り進むのか
みわ:日本共産党を代表し議案に関連し質問します。
まず、市第18号議案「横浜市斎場条例の一部改正」についてです。この議案は、鶴見区に横浜市立の5つ目となる横浜市東部斎場を設置するとともに、指定管理者に管理を行わせる等の条例一部改正です。横浜市立の4つの火葬場は、現在市中央部から南部に設置されています。市内斎場の火葬実績は、2023年度で合計が36,531ですが、主に市内北東部の住民が利用する久保山斎場と北部斎場を合わせると23,835と、全体の65%を占めており、人口の多いこの地域の住民は火葬場を利用しにくく、火葬を待つ日数が伸びる状況が続いています。特に鶴見区周辺の住民は、市営のどの斎場からも遠く、川崎市営の斎場を利用するなどの選択を迫られています。今後の横浜市の死亡者数推計をみますと増加する見込みです。
そこで市は東部方面の整備を2023年度中の着工を決め取り組んできました。しかし、建設工法の変更などで、供用開始が何度も延期されてきました。今回、斎場の完成は2026年12月下旬で供用開始は2027年3月中となる見込みとしています。これまで待ち続けてきた市北東部の市民の期待に応えて、予定通りの開所に向けての山中市長の決意を伺います。
山中市長:火葬待ちの長期化を解消し、将来にわたる火葬の安定供給を実現するためにも、本斎場は必要不可欠な施設であります。鶴見区の皆様を含めて、東部斎場の開所を期待する声に応えるために、令和9年3月の供用の開始に向けて着実に整備を進めてまいります。
東部斎場侵入交差点に信号機の設置を県警に求めていくべき
みわ:斎場の利用にあたって、鶴見区方面からの利用者の利便性・安全性に向けて、市担当局として繰り返し神奈川県警との交渉を行い、施設進入につながる新たな交差点と右折レーンが新設されることを伺いました。改善されたと思いますが、斎場は初めて利用される方が多いと思いますので、安全性向上に向けて、この新しくできる交差点に信号機を設置することは必須ではないでしょうか。
現状神奈川県警は、信号が無くても右折できるとの判断と伺いましたが、市として安全な斎場利用を市民に約束するためにも引き続き県警に対して新しくできる交差点に信号機設置を求めていくべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:神奈川県警との協議の結果、斎場開所後に想定される交通量では信号機の設置は困難と判断されました。開所後想定よりも交通量が増加して、激しい渋滞が発生するなど周辺の交通環境に変化が生じた場合には、改めて神奈川県警と協議をいたします。
避難環境整備のために地域防災拠点を増やすべき
みわ:次は、市第21号議案「災害用トイレトレーラーの取得」についてです。
この議案は、災害時の避難生活における環境整備を図るため、トイレトレーラー5台を取得するものです。
災害用トイレトレーラーの配置を含むTKBユニットで導入していくことについては、スフィア基準であるTKB48、トイレ・キッチン・ベットを一体として48時間以内に配備することは、人権に配慮した避難所の環境整備向上に期するものとして日本共産党は推奨しており期待するところです。しかし、現状、横浜市はTKBユニットについては臨時の避難所の設置を前提としています。臨時の避難所では、日頃からの市民との訓練も無く、物資の備蓄もありません。
また、避難所における世界基準であるスフィア基準で見れば、避難者の居住スペースは、1人足り3.5平米です。港南区の桜岡小学校は今回建て替えが行われて、体育館面積が420㎡から720㎡と広げられますが、それでも地域防災拠点の避難所としての役割を果たすときには、150人程度の収容力しかありません。先の地震防災戦略では57万人の避難者とされており、1地域防災拠点あたり約1000人の避難者としていましたので、面積が足りないことはあまりに明らかです。安心して避難できるよう、また災害時の避難生活における環境の整備を図るためにも、常設の避難所(地域防災拠点)そのものを増やす必要があるのではないかと考えますがどうか伺います。
山中市長:現在459カ所の地域防災拠点や補充的避難所等で避難者を受け入れることとしております。地震防災戦略では、補充的避難所の機能強化や、市内外の民間宿泊施設等を活用した避難先のさらなる拡充を図ることとしております。被害想定の見直しなども踏まえて、しっかりと取り組みを進めてまいります。
鋳鉄管漏水調査の早期着実な実施を
みわ:次に、水第1号議案「水道管破裂事故についての損害賠償額の決定」についてです。この議案は、1962年の敷設から62年が経過した内径300㎜の鋳鉄水道管が破裂し、土砂をふくんだ水が被害者の建物に浸水し、建物・設備等に損害を与えて、27,873,293円の損害賠償を行うものです。
現在更新未了の鋳鉄管は100㎞に及ぶと伺っています。その中には、工事年度不明が12,284m、日本初の近代水道として給水を開始した明治期1887年敷設が379mあり、残りは1933年から1971年までという、138年から54年経過した水道管です。
今回の事故では、近隣住民やふ頭関係者にも多大な損害迷惑を及ぼしました。現在、横浜水道中期経営計画においての主要事業の一つとして、鋳鉄管(CIP)の更新・耐震化を進めると聞いています。しかし、今回の事故を受けて、まずは、現在行われている7区ごと、3年に一度の漏水調査ではなく、老朽化で破裂事故がいつ起きてもおかしくない鋳鉄管に係る漏水調査の早期の着実な推進が必要と考えますが、水道局長の見解を求めます。
山岡水道局長:漏水調査は、行政区ごとに2年から3年周期で実施しており、今年度は7行政区で実施しております。今回の事故を受け、残る11行政区につきましても、すべての鋳鉄管を追加で調査することとしています。また、来年度以降も市内全域で鋳鉄管の漏水調査を継続してまいります。
漏水調査に必要な人材育成を
みわ:今後計画的に、重大事故を防止・回避しながら鋳鉄管からの更新をすすめるには、直営での徹底した漏水調査が必要ではないでしょうか。そのためには人材育成が欠かせません。市として人材育成を強力に推進するべきと考えますが見解を伺います。
山岡水道局長:漏水箇所を特定するには、長年の経験による技術が必要で人材育成や技術継承が必要となります。また、災害時における即時対応力を確保する観点からも、一部の行政区では、直営による調査を実施しております。今後もこの技術を絶やさぬよう、人材育成に努めてまいります。
鋳鉄管の早期更新と必要な財源確保を
みわ:今回の様な重大事故を防ぐためにも、急を要する更新未了の100キロの鋳鉄管対策は、中期計画に示した4年で40キロでは、市民の不安はぬぐえません。早急に更新を進めていくこと、そのための必要な財源を確保していくべきと考えますが見解を伺います。
山岡水道局長:鋳鉄管の更新は、横浜水道中期経営計画に基づき重点的に進めていますが、本市や他都市での漏水事故を踏まえ、国道などの緊急輸送路に埋設された鋳鉄管を優先し迅速に取り組んでまいります。また物価高騰により、工事費が大幅に上昇しているため、財源の確保に向け、引き続き国に対し、財政支援を要望してまいります。以上ご答弁申し上げました。
中小企業の賃上げ援助は補助金制度創設で
みわ:次は、市第38号議案「令和7年度横浜市一般会計補正予算(第2号)」についてです。
まず補正予算の「信用保証料助成事業(中小企業融資事業)について」、今回3つの融資制度を創設するものですが、特に「賃上げおうえん資金」について伺います。「人材確保や物価高騰への対応をふまえ、賃上げに取り組む中小企業が円滑に資金調達できるよう、融資制度を創設」するとしています。賃上げ応援の視点は良いと思いますが、応援の内容が融資でいいのでしょうか。
横浜の中小・小規模事業者は全事業所の99.6%。働く人の60.3%は、中小・小規模事業所の労働者です。中小企業の賃上げこそが日本経済の再生の最重要課題という声は大きくなっていますが、横浜でも賃上げは直接経済の好循環に結び付くのは明らかです。政府も、中小企業の賃上げ環境の整備が最優先課題と認めています。ところが、中小・小規模事業者の皆さんからは、「賃上げはしたいけれど、社会保険料の事業主負担、人件費を価格に転嫁することは取引先が認めない」と賃上げの厳しさが語られます。横浜市としてできる事があるはずです。例えば、賃上げに係る社会保険料が増となる事業主負担の減額も考えられます。
平塚市は、従業員の基本給を上げる事業者をおうえんする奨励金制度を進めています。厚木市、仙台市、北九州市は、国の業務改善助成金を活用しつつ、市独自の補助金を上乗せしています。物価高騰で苦しむ市民の生活に直接力を発揮するように中小・小規模事業者の賃上げを応援するのであれば、融資の創設に予算を使うのではなく、補助金制度を創設すべきと考えますが見解を伺います。
山中市長:市第38号議案についてご質問をいただきました。中小企業の賃上げのための補助金を用意すべきとのことですが、持続的に賃上げができる経営環境を構築するためには、中小企業の経営基盤の強化を図ることが重要です。本市では経営相談や専門家の派遣により、抱える課題を見える化して、販路の開拓や価格転嫁など中小企業の稼ぐ力を強化してまいります。また、業務の効率化や人材確保など個々の企業の状況に寄り添った支援を進めてまいります。
青葉区総合庁舎浸水対策工事で災害対策本部機能を維持できるのか
みわ:次は、青葉区総合庁舎浸水対策工事についてです。浸水想定区域内で電気室が地下にある横浜市の8つの区庁舎のうちで、青葉区庁舎での浸水対策工事を実施するため、新たに債務負担行為を設定するものです。今回の工事で、電気室が2階以上に上がることを期待しましたが、地下のままです。地下の電気室が浸水被害に遭ったときには非常用電源では区役所機能は維持できません。青葉区の洪水ハザードマップでは、 「想定し得る最大規模の降雨」による氾濫を前提として予測では、区役所周辺は0.5mから3mの浸水、1階の天井を超えて浸水する深さと示されています。また、横浜市は今年の夏は、1896年の統計開始以降で最も暑い夏となっています。豪雨についても予測がつかない可能性があります。青葉区庁舎周辺地域での浸水被害が発生する状況下でも、青葉区は役所機能および災害対策本部機能が維持できる浸水対策とするべきと考えますが、今回の浸水対策工事はそうなっているのかどうか伺います。
山中市長:今回の浸水対策工事では、想定される浸水深を上回る高さの止水盤や、止水壁の設置等を行う予定にしております。これにより、建物内部への浸水を防ぐことができるため、区の災害対策本部としての機能を維持できると考えています。
区役所機能喪失しないよう電気室を上階設置に
みわ:さらに、電気室が地下にある区役所について、区役所機能を喪失することのないよう区役所の上階に電気室を設置することを浸水対策として進めるべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:浸水想定区域にある区庁舎においては、区の実情に応じて代替施設を指定するとともに、止水板の設置や災害対策用発電機排水ポンプ、土嚢等を備えております。電気室が地下にある区庁舎については、区の災害対応機能を維持するため、引き続き必要な浸水対策を進めてまいります。
地域ケアプラザの指定管理料の引上げを
みわ:日本共産党を代表し、市第26号議案「地域ケアプラザの指定管理者の指定」について伺います。市独自施設であり、地域包括支援センター機能を担う地域ケアプラザは146か所ありますが、そのうちの106か所の指定管理者の指定が行われるものです。市の9期高齢者保健福祉計画等では、施策の方向として、一人暮らし高齢者や高齢夫婦世帯、認知症高齢者の増加に対し、地域での孤立を防ぎ、支援が必要な人を適切に把握し相談につながるようにと、地域包括の機能強化がますます求められています。しかも、地域ケアプラザは、高齢者だけでなく、子ども、障害のある人など誰もが地域で安心して暮らせるよう、身近な福祉・保健の拠点として存在しています。地域ケアプラザからは、役割を果たすには指定管理料が足りない、増やしてほしいとの声を伺っています。地域ケアプラザに求められている公共サービスを実践するには、人の配置も含めて指定管理料を引き上げることが必要と考えますがどうか伺います。
山中市長:公募を行う際には指定管理業務に必要な人件費や、事業費、管理費などを算定し指定管理用の上限額を設けています。今回の公募にあたっては、昨今の人件費や物価の高騰を踏まえ、上限額の見直しを行ったところです。今後も地域ケアプラザが、地域の健康福祉の拠点として必要な取り組みが行えるよう、社会情勢、運営経費について注視をしてまいります。
地域ケアプラザが機能するため、福祉分野の人材拡充を
みわ:また、指定管理者からはどこも、人材確保が難しいという声が上がっています。指定管理施設で働く職員の賃金は、地域の賃金水準に合致したものとする処遇改善はもとより、業務量に見合った職員配置ができる指定管理料が必要なのです。そして地域ケアプラザとして、安定した公共サービスを提供するには、指定管理者だけでなく、行政が一体となって地域での支援を行っていくべきと考えますがどうか伺います。
地域包括ケアの充実がなお一生求められている現在、地域ケアプラザが機能するためには、対応する区役所における福祉分野の人員配置が欠かせません。市として責任をもって福祉分野の人材を拡充することを要望します。
山中市長:指定管理者だけでなく行政が一体となって支援を行うべきとのことですが、現在も区役所と地域ケアプラザで支援が必要な方の情報を共有し、支援方針の検討や必要なサービスの調整などを行っております。福祉的な課題が複雑化また多様化する中で支援を必要とする方が増えてきています。今後も区役所と地域ケアプラザ連携して、地域の生活を支援してまいります。