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自衛隊への個人情報の提供を行わないことを求める申し入れ

2025年4月16日
横浜市長 山中 竹春 様

日本共産党横浜市会議員団
団長 古谷やすひこ

横浜市長は、2025年2月20日に「自衛官募集等の推進について」の依頼を防衛大臣から受けました。さらに、3月4日には自衛隊神奈川地方協力本部長から「自衛官及び自衛官候補生の募集のために必要な募集対象者情報の提出について」の依頼を受けています。自衛官などの募集案内を送付するために、18歳と22歳を迎える人(7万1042人)の住民票の住所・氏名を自衛隊に提供することについて求められています。

3月30日に中谷元防衛相とヘグセス米国防長官が防衛省で初めて会談し、日米の司令部機能強化に向けた「指揮統制枠組み向上」を確認しています。ヘグセス氏は、在日米軍司令部を「統合軍司令部」に再編成するため体制を強化すると初めて表明しており、自衛隊との統合を進め、事実上、米軍の指揮下に置く狙いを明らかにしています。ヘグセス氏は、日米防衛相会談後の共同記者会見で、いわゆる台湾有事を念頭に「日本は西太平洋で最前線に立つ」と表明しました。米国は中国が2027年までに台湾を武力併合できる戦力を整えると見積もっています。これを「抑止」するために日本の役割を飛躍的に高め、米中戦争の最前線に立たせる狙いを露骨に示した発言を行ったのです。これが、現在の自衛隊の実態です。

横浜市は、2021年度から自衛官募集の対象となる市民の個人情報(氏名・住所)を宛名シールで自衛隊に提供していますが、市民には全く知らされないで進められました。党議員団として自衛隊への名簿提供をやめるよう議会でも主張してきましたが、昨年、除外申請があった62名以外の18歳になる31,696名の市民の個人情報「氏名・住所」を宛名シールに印刷し、5月30日に自衛隊に提出してしまいました。

市は、今年も広報よこはま3月1日号に「18歳・22歳を迎える人で 自衛隊への情報提供を望まない人は申し出を!」とする記事を1度だけ掲載しました。また、市のホームページには「自衛官募集事務における自衛官等募集対象者情報の提供について」との表題で知らせていますが、これで「私には自衛官募集情報を送らないでほしい」と意思表示できるものだとの判断ができるでしょうか。そもそも、「自衛隊への情報提供を望まない人は申し出を」とすること自体が、自らの内心を表明させることとなり、憲法19条を侵害するものではないでしょうか。

2024年3月29日、奈良地裁に、同意なく自らの個人4情報(氏名、生年月日、男女の別、住所)を奈良市が自衛隊奈良地方協力本部に提供され、募集案内はがきが送られてきた高校3年生が原告(名簿提供時17歳=未成年)となって、奈良市と国を被告として、慰謝料100万円請求する国家賠償請求訴訟が提起され、現在審理中です。裁判では次の6点が問われているとされています。①本人の同意なく自衛隊に個人情報を提供することが許されるのか。②憲法上保障されているプライバシー権の侵害があるのではないか。③除外申請制度は、あぶり出し効果と思想信条の自由の侵害になるのではないか。④奈良市が保有する住民基本台帳法に登録されている個人情報は、何の目的で保有され、利用が許されるのか。⑤同意のない目的外の提供、利・活用は許されるのか。⑥自衛官の募集のために、自衛隊に情報提供することは許されるのか。

これら、6点に少なくとも横浜市は応えられるのでしょうか。自衛隊からのどのような働きかけがあろうとも地方自治体が外部の組織に対して、住民の名簿を提供することは、住民基本台帳法に反するものです。住民のプライバシー権を侵害するものであり、到底地方自治体がするべきことではありません。横浜市は、自衛隊への名簿提供は国からの「法定受託事務」としますが、あくまでも国からの「依頼」「お願い」にすぎません。国の通知でも‶技術的助言である″と明らかにしています。ですから、防衛大臣に対して行う報告や資料提供を行う判断の中で、最も尊重しなければならないことは、個人(住民)のプライバシー権です。

私たちは、昨年も同様の申し入れを行っていますが、自衛隊への回答を含めて、下記の対応を求めます。

一.自衛隊へ市民の個人情報名簿の提供は行わないこと。 

一.2021年度から個人情報を提供してきたことを「広報よこはま」と市HPなどに掲載すること。