議会での質問・討論(詳細)
2019年12月11日

■一般質問 (宇佐美 さやか)

敬老パスは、利用者負担増ではなく市費負担で現状維持を

宇佐美議員:宇佐美さやかです。日本共産党を代表し、質問します。

まず初めに、高齢者の健康増進に寄与している敬老特別乗車証制度、いわゆる敬老パス制度の見直しについて伺います。

6月から敬老パスのあり方に関する検討専門分科会が5回開かれ、いよいよ大詰めを迎え、18日にも答申が出る予定です。

本市は、制度創設当時から、市・事業者・利用者の『三者負担』の考え方でこの制度を維持しており、現在、乗車1回あたり135円で月15回乗車したと想定し、バス事業者に支払っています。しかし、今年の夏に実施した利用者アンケートでは、バス利用回数月約20回という結果でした。超過分は、バス事業者の負担となるため、事業者から不満の声が出るのもごく自然のことです。本市は、この事業者の声に応えるように、利用者負担の値上げを検討すると見受けられたことから、党市議団は、6月と11月に利用者負担の現状維持を求める申し入れを行いました。

利用者は、世帯全員非課税と本人非課税世帯という厳しい家計状況の方が半数以上を占め、今後減るばかりの年金収入、その上に消費税の増税、社会保障の全面的改悪の企てなど、高齢者いじめが続いています。高齢者にこれ以上の負担を強いれば、交付率が下がることが確実です。利用者への負担増は制度の根幹を脅かすことが憂慮されることから、避けなければなりません。

党市議団が調査に伺った名古屋市は、一般財源の約2%にあたる133億円を市費で負担しています。名古屋市並みに本市も一般財源の2%に上げれば、200億円となり、あと100億円の支出が可能です。事業者には、引き続き協力を求めつつ、アンケート結果にある20回という利用回数を実態に近づけることは、検討に値すると考えます。その為の増額分は、市費負担とすることが制度を維持可能なものとする最も現実的な選択肢と考えますが、市長の見解伺います。

林市長:お答え申し上げます。敬老特別乗車制度についてご質問いただきました。事業費の増額分は市費負担とすべきとのことですが、本制度は高齢化の伸展によりまして事業費が増加し交通事業者、本市共に負担が増えるなどの課題があります。今後も中長期的な高齢化の伸展により現行制度では更なる事業費の増加が見込まれることから、制度のあり方について専門分科会に諮問したところです。今後の答申を踏まえ持続可能な制度を検討してまいります。

答申時期を延ばし、定量化調査をすべきとのことですが定量化調査を行うには敬老パス利用者の健康状態や要介護度の経年比較などが考えられます。そのためには膨大なデータの突合や敬老パス以外の要素の影響分析など様々な課題があり、検討には一定の時間が必要です。尚、専門分科会では制度の役割、効果及び負担の考え方等についてこれまで5回にわたり議論を重ねて来ましたので答申は年内に取りまとめられる予定です。

宇佐美議員:実態に見合う利用回数に見直した結果として、増えた額に市費を充てるにあたっては、市民合意が必要となります。高齢者だけが感じる効果ではなく、経済効果など全市的に表れる効果が数値化されれば、市費負担の合理性、妥当性が示され、市民合意につながります。

敬老パスの交付効果の定量化調査も答申案の市民意見募集もないままの答申では、検討会の議論に関心を寄せている多くの高齢者や市民の理解は得られません。ですから、この答申をまとめる時期を、少なくとも数か月延ばすことが必要です。その間に、交付効果の定量化調査を実施し、公開する。さらに答申案について市民意見を聞くことが必須と考えますがどうか伺います。

林市長:答申前に市民の皆様のご意見を聞くべきとのことですが、若い世代も含めて広く意見を聞くため20歳以上の市民3万人を対象としてアンケートを行いました。また敬老パス交付率の高い自治会において利用者の皆様から直接ご意見をお聞きしました。この間に寄せられたご要望やご意見について専門分科会へ提出して来ました。これらを参考に答申が取りまとめられる予定です。

新たな劇場整備は、市長の思いだけで拙速に進めるな

宇佐美議員:次に、市長の思いだけで進める、新たな劇場の整備について伺います。

横浜市新たな劇場整備検討委員会では、12月2日、みなとみらい地区に2500席規模の劇場を整備すべきとの提言(第一次)を市長に提出しました。一方で建設費や運営費について、さらに議論が必要として検討委員会は解散ではなく継続するとしました。そのために提言第一次となったものです。そもそも年内に答申を出すというスケジュールに無理があります。わずか6か月間では、検討委員会内部の議論で精一杯で、市民に「そもそも劇場が必要かどうか」も問わず、審議の中間で市民意見を聞く機会を持てなかったのも、市長が年内の結論を急がせたからです。市内の芸術・文化に携わる多くの市民や、舞台芸術関係者からの熱い思いをくみ取るいとますら検討委員会に、市長は与えていません。このような機運の盛り上がりもないまま、市長の思いだけが先行しているような拙速な進め方で良いとお考えですか、劇場は単なる箱物とは違います。猛省を求めますが見解を伺います。

林市長:新たな劇場整備についてご質問いただきました。気運の盛り上がりが無く拙速な進め方とのことですが、新たな劇場整備についてはまず中期計画に盛り込み、その後有識者による検討委員会を設置し、整備ありきを無いことを前提に検討していただくことなど着実に進めているところです。また芸術フェスティバルでの盛り上げ、次世代育成の取り組みなどそういった気運の情勢にもつなげていきたいと考えております。

宇佐美議員:10月30日の定例記者会見で市長は「グローバルに通用するような劇場をやりたいと考えています」と語られ、以前、検討委員会の設置にかかわって「世界的なレベルのものが横浜にあることを示したい」と本会議場で述べられていました。提言は、「新たな劇場は、オペラ、バレエを中心とし、パリ、ウィーン、ミラノなどの劇場に匹敵する世界レベルの質の高い殿堂を目指すべき」としており、市長の意をくむ内容となっています。

日本で初めて、オペラ・バレエ専用の劇場を有する新国立劇場を、党市議団は、10月25日に視察しました。「新国立劇場は、構想から31年費やし、建築費には約800億円かけた」と運営財団から聞きました。オペラパレス1814席のほか中劇場、小劇場の3つのホールがあり。財団の職員は約150人、バレエ団・合唱団を有し、オペラ・バレエ・演劇の研修所を設置しています。2018年度の劇場の収入約77億円のうち国からの委託費が41億円、公演収入約24億円で国費が5割を超えています。

オペラの本場、フランスでは国が多額の補助金を負担し、オペラハウスを運営しています。パリのオペラ座は、専属のオーケストラ、バレエ団と合唱団を所有し、従業員約1700人を抱え、国から文化のために、約1億ユーロの国庫補助金が投入されることを、国民は理解し受入れています。世界レベルの劇場とは、こういったものなのです。日本では新国立劇場がそれに近いとなるのですが、オペラ座のようなオーケストラは、かかえていません。

市長が本気になって世界に通用する劇場を目指すとしたら、提言がいうようにオペラ座のような劇場、日本でいう新国立劇場を上回るものを横浜につくることになります。しかし、市長は、「大劇場一本でやっていく」と新国立劇場との違いを明言しましたが、検討委員会は「オーケストラ、合唱団、バレエ団の実演団体を所有することは現実的でない」と断言しています。そうすると目指すのは新国立劇場とオペラ、バレエ上演数を競う東京文化会館のような貸館中心の劇場ということになります。一方、提言は、運営主体が企画立案するプログラム・自主事業を中心とした運営を基本としています。支離滅裂ではありませんか。市長の目指す劇場はいったいどういうものなのか、市民に分かりやすく実例を示して説明してください。また、それをどうやって実現しようとしているかもはっきりとさせてください。明快な回答お願いします。

林市長:目指す劇場の実例と表現方法ですが、検討委員会の提言ではアジアの拠点として成立すること、ウィーンやパリ、ミラノの劇場クラスを目指すべきとのご意見が示されております。そのためには海外の劇場との優れた実践団体がニーズに応えられる舞台設備などの充実、また運営体制の強化、今までの運営体制だとちょっと弱い、日本全国に色々とございますけども、非常に弱いと思いまして、これらは大変に重要な課題でございまして、提言も受けましたけど引き続き検討委員会を重ねるということは、市としても非常にここが今回の劇場建設に最重要にところだと、建物の建設は出来るとします。それから持続的に運営できること、というのが非常に重要でございますので、検討会の助言もいただきながら、検討委員会の委員の先生も続けるとおっしゃっていますし、我々もそのように期待しているわけです。ですから検討を深めてご報告をしてまいりたいと思います。

それから日本は文化芸術立国ということを謳っているのですが、未だ予算的にも先進国に比べて最も低い、総予算の0.11%という世界に類を見ない芸術関係芸術文化に対する予算は低予算ということで、これはもう、今までの国の文化というか、ヨーロッパとかアメリカは最初から国がそうゆうことをやってまいりましたし、小さい頃からそうゆうふうに敷居が低い中で、バレエやそれぞれの国の文化を見続けて来ておりますけど、日本は伝統文化でさえ子ども達から、少し離れて歌舞伎だとか能楽とか狂言であるとか日本舞踊であるとか、そうゆうものすら、それ程日常的に子ども達が気軽に見るという環境ではないですけど、ヨーロッパなどは昼間、授業の後に子ども達が子どものためのバレーなどを見る文化がございますけど、日本はそれが無いということなので、やっぱり劇場文化が発達しなかったということがございます。それがやはりこれから世界の経済競争の中で、芸術文化もやはり観光だとか経済活動に非常に重要だということが言われていました。その中で横浜市が一番今時期的に国のご理解も大部いただいておりますので、チャンスかなと思って今話しを進めているところでございます。

宇佐美議員:私たちが最も懸念していることは、オペラ、バレエの愛好家が減っていることから、そのニーズは高くないという調査結果が出ているということです。2017年のJTB総合研究所の「ホール・劇場等に係る調査・分析」報告書は、5年間で鑑賞回数がどう変化したかの質問に対し、オペラでは、大きく減ったが22.8%、少し減った11.8%で、大きく増えた1.9%、少し増えた7.4%と、オペラ愛好者の減少化は顕著です。バレエもほぼ同じ傾向です。また、「余暇が増えた時、鑑賞したいジャンルは」という質問に対して、オペラは14.9%で14ジャンル中8位、バレエ12.3%で10位でした。2500席もの大規模劇場で本当にオペラ・バレエの上演ができるのか疑問がわくばかりです。

この結果からも、劇場の設置には、ニーズ調査が不可欠です。オペラやバレエの需要がどれだけあるのかの調査だけでなく、上演団体が本当に来てくれるのかなどの調査も必要です。調査はこれからでもするべきと考えますが、どうか伺います。

林市長:上演団体の利用意向の調査ですが、数年前から上演団体が、皆さん記者会見をやって、劇場が次々と閉ざされて、上演できるところが無いというようなこともありました。それで今、本格的な劇場が日本は不足しているということは、一致してるところでございます。ですから劇場整備には各界から、国からも期待を寄せられております。引き続き上演団体の皆様の意向や要望をお聞きしながら調査を慎重に進めていくということでございます。

敷地とコストは中学校給食を実施できない理由にならない

宇佐美議員次は、市民が切望する中学校給食について伺います。

11月29日に第3回横浜市の中学校昼食に関する懇談会が開かれ、資料を見ました。そのなかで、10月7日から15日まで、中学校昼食に関するアンケート調査とサウンディング調査を実施した結果を分析しています。ここで、ハマ弁事業の新たな問題点と保護者の給食への思いが明らかになりました。

明らかになった問題点は、ハマ弁の注文が増えた場合、他市から運んでくるために、今ですら調理を始めるのは夜中で、深夜から早朝に働く人が必要となることです。本市はハマ弁の喫食率の目標を20%としていますが、10月の生徒の喫食率6%の約3倍です。深夜から働く人も増やさなければ、対応できなくなると予想できます。働き方改革が叫ばれている今日、こうした働き方に依拠しなければ成り立たない事業のあり方が、公共の事業に果たして相応しいと、考えているのか伺います。そして、子どもがハマ弁でも家庭弁当でも、どちらでもいいと言った場合、ハマ弁を毎日注文するが20%、デリバリー型給食が46.5%という保護者のアンケート結果が出たことです。デリバリー型給食といえども給食のニーズが高いということが示されました。このことから、保護者が求めているのは、ハマ弁の継続ではなく、給食の実施です。このことについて、教育長の所感を伺います。

鯉渕教育長:中学校給食についてご質問いただきました。早朝に製造する働き方に依存する事業の在り方ですが、ハマ弁のようにデリバリー型の昼食を提供する事業においては、各学校に配達する必要があるため、横浜のような大規模な自治体では、製造する時間は早くならざるを得ません。今回実施したサウンデイング調査では、早朝だからこそ働ける方も、少なからずいらっしゃると伺っていますが、事業者数を増やすなど、過度な負担を強いることがないよう、検討していきます。

給食実施のニーズについてですが、本市では、自校方式、親子方式、センター方式での実施は、コストやスペースの問題で困難と考え、ハマ弁を提供しています。今回実施したアンケート結果では、ハマ弁月一回以上利用したいと回答した割合は、小学校及び中学校の保護者の約7割となっており、保護者のハマ弁に対するニーズは、相当程度あるととらえています。以上ご答弁申し上げました。

宇佐美議員:教育委員会は、2021年度から更に、ハマ弁の5年間延長を示唆しています。5年の間に県内全ての自治体で中学校給食が実施され、実施していないのは、本市だけとなってしまうことが予測できます。その間に市長選挙が行われ、ハマ弁事業者とは契約済みとなり、給食実施を掲げて当選した市長となっても、契約解除は容易でなく、多くの市民の「中学校給食の実施を」という声を無視し続けることになります。

11月14日、日本共産党は、神奈川県内の議員が各省庁に対し予算要望を行いました。その際、文部科学省から「なぜ、横浜市は、中学校給食を実施しないのか」と聞かれ、参加した議員は、本当に恥ずかしい思いをして帰ってきたと聞きました。文科省は「生きた教材」として給食の積極活用を推奨しています。文科省が首を傾げるほど頑なに給食実施を拒む横浜市は、神奈川県内だけでなく日本全国で給食の実施をしない唯一の不名誉な市になるのでしょうか。

私たちは、8月にさいたま市、10月には西東京市と奈良市の中学校給食の実施状況を視察しました。さいたま市は、敷地が狭いという問題を何とか工夫して、2階建ての給食室を学校ごとに設計し後付けで設置しました。

西東京市では、自校調理方式が一番良いと理解しているものの、現状直ぐに実施できる方法として、近くの小学校で調理したものを、近隣の中学校にトラックで運ぶという親子方式で実施しています。

市長は「敷地にスペースがない、お金がかかる」と繰り返し答弁されますが、どうしてもスペースが無いのであれば、近隣の小学校から調理されたものを運ぶ「親子方式」での給食実施は可能です。財源の問題は、新たな劇場を整備する財源があるのなら、優先順位としては、市長の切望する劇場より、多くの市民が切望する中学校給食の実施が先ではないでしょうか。

西東京市では、当初3か年での全校実施をめざしたそうですが、色々な方面から「それでは遅い」という声があがり、2か年での全校実施となったそうです。更に、奈良市では、市町村合併により、中学校が22校となり、すでに給食を実施していた6校もありましたが、2013年から残りの16校を4年に分け自校調理方式の給食を全校実施しました。どちらの市でも、全校一斉に実施していません。市長は、複数年度に分けての給食を実施することについて「公平さを欠くから実施できない」と言っています。しかし、そういう声は両市とも出なかったとお聞きしました。

政令市では、大阪がデリバリー給食から親子方式・自校調理方式の学校調理方式への転換を5年かけ、本年の2学期から全校で実現させました。大阪だけでなく奈良市・西東京市とも、最初はデリバリー給食から実施し、生徒から評判が悪かったことから、自校調理方式及び親子方式の給食実施に踏み切ったという経緯があります。

このように私たちが視察した各都市全てが、子どもたちのためにスペースの問題、財政問題など様々な工夫でクリアしていました。
市長、市長が実施できないとする『スペース・財源・不公平論』の3つの理由は、中学校給食を実施できない理由にはならないことが、事実として示されました。

今年、4月の市会議員選挙の公約で「中学校給食の実施」に言及していないのは、最大会派の自民党だけです。市長、本市で実施しないのは、自民党の態度を見て無理と判断したからですか。それとも、本市の公立中学校の子どもたちに、給食は必要ないと考えておられるのか、伺います。

林市長:中学校給食について、ご質問いただきました。子どもたちのために給食を実施すべきとのことですが、横浜市では、自校方式、親子方式、センター方式での実施はコストやスペースの問題で困難と考えています。今回のアンケート結果から、ハマ弁を学校給食法上の給食と位置付けて提供する、デリバリー型給食を望む声が多くあることがわかりました。令和3年度以降に向け、供給体制の確保や公会計化等の問題を乗り越えられるのか検討を行っていきます。

先ほど、自民党さんの考えとか、子どもたちに給食を提供したくないのかという質問がありましたけど、どちらもですね、自民党さんがおっしゃっているとか、子どもたちに給食を与えたくないということではありませんで、総合的に市の行政運営上考える、子どもたちの状況も考え、ハマ弁というのは十分に、いわゆる子どもたちにとって、中学生にとって良い栄養状態であるし、決して学校給食に比べて劣るものではないという考え方からこういうふうにお答えするわけでございます。

カジノ誘致後の負の影響に,林市長が責任を持てるはずがない

宇佐美議員:最後に、街壊し必至といわれるカジノ誘致について伺います。

市長は、「世界最高水準のカジノ規制が定められている」として「依存症の方を増やさないように取り組む環境が整ってきた」と、第3回定例会で何度も答弁されました。今月4日中区、9日には神奈川区で開かれた「IR(統合型リゾート)の実現に向けて」という説明会でも市長は、国が誇る世界最高水準の対策として、マイナンバーカードの提示、入場料6000円、1週間で3回という入場制限をあげていますが、入場料でいえばシンガポールは1万2000円、入場制限では、韓国江原ランドは、地元住民は月1回しか入場できません。これと比べて、どこが世界最高水準ですか。

説明会で市長は「IRという施設は、プール、レストラン、会議室、エンターテインメントなどの施設で、カジノは施設の3%、ほとんどの施設がみなさんが楽しめる施設。親戚などが集まった時に「ちょっとIR行こうか」というように、日常的に無料で家族で遊べる施設なんです」と言った後「確かにIRだけでは成り立たない施設ですので、カジノの収益が必要です」と繰り返し言われました。日常的に市民をカジノに慣らしていき、依存症患者を増やすことを明け透けに語られました。

オーストラリア・ビクトリア州都のメルボルンには、クラウンメルボルンというIRがあり、カジノ売り上げ1400億円です。同州の調査では、ギャンブル人口の5%を占める中症、重症のギャンブル依存症患者がつぎ込んだかけ金が、カジノ売り上げの6割以上を占めているという結果が出ています。本市のIR調査報告書に関する6月に開いた説明会の資料には、韓国におけるギャンブル依存症の推定有病率、2014年で5.4%と明示しています。これらのことから入場者をギャンブル依存症に陥れることによってカジノは成り立っているといっても過言ではありません。カジノの利益は、多くのカジノ客から浅く集めているわけではありません。依存症に陥った客からの掛け金に、利益の大半を頼っているのです。重症のギャンブル中毒症が増えれば増えるほどカジノ利益は上がるのです。カジノ実施法は、カジノ業者が客にお金を貸す制度まで認めています。入場者のギャンブル依存症化が進めば進むほど利益が上がるというカジノの本質に対する市長の認識を伺います。

林市長:IRについてご質問いただきました。カジノに対する認識ですが、日本にはすでに競馬などの公営競技やパチンコなどの様々なギャンブルが存在しています。こういう〇〇のところから、カジノに大変、ご不安、懸念を持たれている方がやはり多くなると思います。日本型IRには、繰り返し申し上げますけど、厳格な免許制や6000円の入場料、本人の申告による入場制限、家族の申告による入場宣言など、世界最高水準のカジノ規制が施されています。事業者にも問題ある利用者への徹底した対応や相談窓口の設置など、責任ある運営が求められているわけです。横浜市としても国や県、関係機関と連携して、依存症対策や治安対策をしっかりとこれから検討もして、実施していくということです。

宇佐美議員:そして、依存症対策の成功例として持ち上げるシンガポールですが、成功の裏には、同国特有の事情があることを見なければなりません。顔認証、指紋認証など個人情報が国家によって管理され、カジノへの入場制限が行われているのです。警察によるカジノ犯罪対策は専門部体制が敷かれ、大変厳格です。町中に監視カメラを設置しています。カジノに関わる犯罪者は、裁判にかけずに大臣が有罪にでき、裁判でも1週間以内の結審など特別のルールを採用しています。公権力による住民管理。監視という特別の環境だからこそ、成功しているのです。基本的人権の尊重を憲法の原則とする、日本では到底考えられません。シンガポールの成功の裏にはこうした反人権的で強権的なシステムがあり、さらには、カジノ客のほとんどが外国人という事実を市民に包み隠さず語るべきと考えます。シンガポールを成功例として持ち上げるのは、市民に誤解を与えるものです。見解を伺います。

林市長:シンガポールの事例ですが、日本型IRが参考としているシンガポールでは、依存症対策の取り組みとして、入場の際に、写真付きIDの提示、家族の申請による入場制限などが行われています。このような対策をIR開業前から実施した結果、ギャンブル依存症の有病率は減少傾向になっています。日本型IRについても、マイナンバーカードによる本人、年齢確認の徹底や本人や家族の申告による入場制限など同様の取り組みが実施されるわけでございます。シンガポールっていうのは本当に奇跡的に国があれだけ経済的に、大変優秀な〇〇を進めている国です。やはりMICEが圧倒的に素晴らしい海外のお客様を非常に取り込んでいる国ですね。そういうことで、ちょっと私、本当のデータ的なことを承知していないので申し訳ないのですが、いまちょっと先生のご質問の中にでてきたことによると、海外のお客様が多いといのはそういうこともある、ともかく海外の人を集客して経済振興をはかってきた国であると私は思っています。データ的には完全にお調べしていません。

宇佐美議員:10月、党市議団は、韓国のカジノを視察し、11月には報告会を開催しました。

韓国人が唯一入ることができる江原ランドは、首都ソウル市内から400キロ離れた山のなかに造られた施設です。最寄りの駅を降りるなり「お金貸します」といたるところに書いてある。どこのホテルでも自殺者がでている。質屋の前には、何台もの高級外車や個人タクシーが並んでいる。6時にカジノが閉館すると、ゾロゾロとバスに乗り、山の下に着き、またゾロゾロと歩いて、お金がある人は、風俗や飲食店、ホテルなどに入って行く。お金の無い人は、金貸しのところに行くということが繰り返されているそうです。

浮浪者と物取りが増え、治安悪化で、小学校は隣の町に移転したそうです。それだけでなく、企業も撤退したと聞いています。人口は、15万人から3万8千人と激減。
江原ランドの社長と懇談された国会議員の話を聞きました。社長さんは「絶対横浜に誘致してはいけません、この山間の田舎町でもこれほど問題が起きている、ここに誘致したのは100万都市からアプローチしにくい、車で3時間以上かかるところを必要悪として導入する考えだった」この社長さんは、最高検検事出身で国会議員経験者です。

このことから、カジノに依存することで人心の荒廃がいかに進み、街がいかに壊れ、衰退していくのかが理解できるのではないかと考えます。この惨状から、山下ふ頭の周辺と近隣の横浜を代表する元町などの街がこわれてしまうリスクは極めて大きいものがあります。さらに、本市が、事業者に求めているコンセプト提案には、実施期間が40年間とあることから、一度誘致すれば後戻りは、できません。市長は、横浜を壊したことに責任をとれないようなことをするべきではないと、考えます。このことについての見解を伺い質問を終わります。

林市長:IR誘致についてですが、今後人口減少や超高齢社会の進展などが厳しい状況を迎える中、横浜は更に成長発展して子育て、医療、福祉、教育など市民の皆さまの安全安心な生活を守っていかなくてはなりません。IR導入に関するこれまでの調査で、ファミリーも楽しめる世界的なエンターテイメントや一流の文化芸術による観光振興などこれまでにない経済的社会的効果が確認できました。こうした効果が横浜における諸課題を解決するうえで有効な選択肢の一つだと思います。

市民説明会で、なんで他所の都市と比べるのかという質問を私は言われて、ちょっと胸にささったのですが、横浜は横浜でやっているじゃないかと言っていただきましたけど、大変人口が少なくなって、減っていく状況のなかで、個人市民税が非常に全体の50%を占めるという大都市としては上場企業が少ないために、法人税収入が少ないために、一つの異例な形と申し上げましょうか、そういうことなので、隣に東京があるというのもそうと思いますけど、そういう意味で、東京一極集中が進む中で、将来を考えてやはり経済振興、それからみなさんがこういう社会保障等をきちっとお守りできるような市政を構築したいという意味で、税収の増収の一つとして、IRということを私は誘致したいとしているところでございます。


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