議会での質問・討論(詳細)
2019年6月4日

■反対討論 宇佐美さやか議員(2019.6.4)

新たな劇場整備は、検討部会発足前に必要性・実現性の検証を

宇佐美議員:宇佐美さやかです。日本共産党を代表し、討論を行います。

まず、市第2号議案『横浜市新たな劇場整備検討委員会条例の制定』についてです。

5月23日の議案関連質疑で、市長は「関係者へのヒヤリングなど事実上の検討を進めて劇場整備の効果とともに、課題なども明確になったことから委員会を設置する」と答弁されました。ヒヤリングを行ったのは、関係者のみで、市民には一切意見を聞いていないどころか、庁内での検討は、シンクタンクへの調査依頼にとどまっています。この調査では、新たな劇場の必要性については、外国の都市の事例をあげているだけです。

さらに、劇場の主たる目的となるオペラやバレエの愛好家が、どれぐらいいるのかも調査していないことも、問題だと思います。市長は「30年度の横浜市民意識調査で観劇やコンサートに行く方の頻度は、年に1回か数回が35.8%。劇場やコンサートに行く方の54.2%が都内へ行っている」と答弁され、新たな劇場の必要性の根拠とされました。市長がお答えになったのは、オペラ・バレエを限定としたデータではなく、ご自身が言われた通り『観劇やコンサート』に行かれた方のデータです。本当に、市民がオペラやバレエを鑑賞したのかどうかの調査は、行われていません。

市長は本会議で、劇場整備への思いを大いに語られ、世界レベルの劇場、オペラ・バレエだけでなく歌舞伎(かぶき)などと、かなりの方向付けをされました。建設費(けんせつひ)だけで約555億円かかった新国立劇場の規模が推察されます。

市長は、国からの公費負担をあてにしていますが、何の保障もありません。

5月27日の常任委員会のインターネット中継を視聴していた方々から「検討委員会設置の前に、行政側が考える新劇場構想計画を提示するべき。実にあいまいで捉えどころがないまま新劇場を進めるための条例制定に見えます」というご意見や「巨額の税金を投じる割に公演が少なく市民も、誰もさほど行かない、文化にもさほど貢献しないというオチになる」という危惧の念が党市議団に寄せられました。

日本共産党は、芸術・文化の発展は、豊かな人間性をはぐくみ、社会の進歩に欠かせないものであり、芸術・文化を自由に創造し、享受することは、国民の基本的権利であり、その条件を整えることは、政治の責任だと考えています。しかし、東京に近く、県立劇場のある横浜での新しい劇場整備の必要性について、市長の答弁は、まったく説得力に欠けています。海外のオペラ劇場との連携でインバウンドの効果があると強調されていますが、2017年の海外団体による上演は、昭和音楽大学調査によると首都圏でたったの13件にすぎません。市民の意見を聞くことなく、ニーズ調査もなく、整備ありきの検討委員会を設けることには、賛成できません。

防火・耐火の規制緩和は認められない

次に市第12号議案 「横浜市建築基準条例」の一部改正についてです。建築基準法改正に伴う条例改正ですが、条例第33条は、法に準じ、「観覧場、公会堂、集会場など不特定多数の人が使用する建築物を耐火建築物とすることを求めていました。この規定が、既存の住宅を商業施設や福祉施設に転用する場合もこれを、3階建て以下で面積が200平方メートル未満であれば、準耐火構造でなくてもよいと規制緩和するものです。

防火・耐火規制は、そもそも居住者や利用者の生命身体の安全を守るもので、これを緩和することは建築物の安全性が後退する重大な変更です。特に車いす利用者、高齢者、乳幼児を連れたかたなどの安心安全が危惧されます。

今回の条例改正は、空き家対策としても市民の生命を危険にさらすものとなり認められません。

住民の合意と納得が得られていない菅田小と池上小の統廃合は認められない

宇佐美議員:次に、市第17号議案『横浜市立学校条例の一部改正』についてです。

これは、神奈川区の池上小学校と菅田小学校を統廃合し、2021年4月に旧池上小学校において新設する学校名を『菅田の丘小学校』とするための議案です。

私は、2017年12月の『池上小学校・菅田小学校の学校規模と今後の対応について』という保護者を対象に開かれた説明会に参加して以来、保護者のみなさんから『保護者説明会が開かれます』というお知らせをいただけた時には、必ず参加し、参加された方々のご意見を書き留めてきました。

鯉渕教育長は、5月23日の我が党の質問に「検討部会の他に地域の方への説明会をやりながら、丁寧にご説明をさせていただいたつもりです。そうしたことの結果として、検討部会において、統合の方向性がだされた」と答弁されましたが、少なくとも私が参加した保護者説明会、未就学児の保護者を対象にした説明会、地域住民への説明会のどこでも「統廃合に反対」、「地域から学校を無くすな」、「子どもが減っているなら、団地に子どもが増えるような案こそ持ってくるべきだ」という意見が次々と出されました。

教育長、それでも「合意形成」ができたとするのは、「池上小学校・菅田小学校通学区域と学校規模適正化等検討部会」で、統廃合に反対する地域の委員の声を無視し続けた結果です。

地域の委員は「いきなり集められて、何もわからないのに、これでいきますと言われ、私一人では決められないので、持ち帰りたい。と言うと、みなさんは地域の代表ですので、ここで決めていただきます。と教育委員会から言われ、地域の代表なのに、アンケートを取ることも許されなかった」と、私に話してくださいました。さらに「時間ですので、これでよろしいですね。と決められた内容に沿うように促うながされる。初めての部会で教育委員会から「この会は、非公開でいいですね」と言われ、はいとしか言えない空気だった」とも話してくださいました。

このようなやり方で、無理やり合意形成を図ったことで、地域住民の中には「検討部会は一体何をやっているんだ」という声も説明会で、出されました。検討部会のメンバーと地域を分断させ、さらに、池上小学校の保護者には、早い段階から「学校を建替える」ということをちらつかせ「何故、建替えてくれるのに菅田の方は反対するの?」と池上小学校と菅田小学校の保護者も分断させるようなことまでしてきたことも、地域の方々から聞いています。

地域住民の方が「学校の統廃合について、住民との話し合いや周知が大事で、今回それがなされなかったのが残念だった」と言われました。もっと、住民のみなさんが納得いくまで説明をする必要があったのではないかと思います。

通学路の問題は、説明会の度に保護者のみなさんから、危険な場所が次々と出されました。私も北谷議員と共に、地域のみなさんが「危険だ」という道路を調査してきました。人がすれ違うことのできない歩道や街灯の無い道、農道や狭い交差点をトラックやバスが行き交う、信号待ちの場所がないなど、大人でも怖い道が続きます。先日、教育長は、通学路の安全対策について「教育委員会が責任を持って取組んでおります」と答弁されましたが、ここ数か月だけでも、子どもたちが事故に巻き込まれ亡くなるという痛ましい報道が相次いでいます。保護者のみなさんの不安感を取り除くことが、教育委員会の責任であることをしっかり肝に銘じて取組んでいただきたいと、強く要望します。

そして、建替えが行われる池上小学校のグラウンドは、市の基準を下回ったままです。しかも、市の基準は、国基準の半分にしかすぎません。何のために基準を設けているのでしょうか。

統廃合によって教育条件の改善は、見込めないことは、明白であり到底認めるわけにはいきません。

新市庁舎建設に伴う現市庁舎の什器(備品)の大量破棄は認められない

宇佐美議員:市第21号議案から市第32号議案は、新市庁舎整備にあたり、スチール製デスクなど什器調達をするためのものです。

什器調達のための予算として89億円の債務負担行為が設定されています。移転にあたり、現在使用している什器を調査し、その状態・機能性などから3ランクに分けています。約6万3千台の什器のうち、新市庁舎に使えるものは1割の約6千500台、耐用年数が経過し使用に支障があるものが約4割、2万6千台、新市庁舎のレイアウトに合致せず、他の施設での活用を検討するものが、約5割の3万台です。

問題は、約半分を占める新市庁舎のレイアウトに合致せず他の施設で活用を検討するものが、受け取る施設がなければ、処分されてしまうことです。

結果的に、新市庁舎ができるタイミングにあわせて新しい什器に買い替えることが目的となり、使えるものまで処分対象とするというのは、大量廃棄を前提としており3Rを掲げる政策に反していることから問題です。

市有地は、市民が望む図書館、市民大ホールなどに活用すべき

宇佐美議員:議案の最後は、市第33号議案、都筑区中川中央1丁目所在市有土地の処分についてです。

今回、区民文化センターの設置は、評価しますが、文化ゾーンとして確保した1.2ヘクタールの市有土地を営利法人へ売却することは、認められません。

広大な敷地があるにも関わらず、区民文化センターの規模は他区と同様に収容人数300人規模となっています。土地の大部分は企業の研究所の敷地となります。

当初の計画通り、気軽に文化に触れることができるような施設をつくり、全てを区民に開放することを検討するべきでした。具体的には、収容人数1千人規模のホールや、市の北部地域のみなさんにも喜ばれる中央図書館のような蔵書数の多い図書館の設置です。

広く市民の意見を聞く場も設けずに、財源確保という財政上の理由を最優先した売却ありきの市有地活用方針は直ちに白紙にすべきです。

カジノ誘致反対の市民の立場にたって、反対の議会決議を求める請願は採択を

宇佐美議員:次に、請願 第1号 カジノ誘致に反対する決議についてです。

請願内容は、市議会において、カジノ反対 横浜誘致反対の決議をというものです。

おりしも5月27日に市が委託していたIR検討調査報告書が議会に提出されました。この調査は、IR誘致判断の一つとすることを目的としています。この報告書は調査の結論として「調査のまとめ」を記しています。最初に『横浜の都市としてのポテンシャルが高く評価され、12事業者が海外事例と比べても遜色ない、民間による大規模な開発投資を伴う、IRの事業性を見込んでいることが示された。』としています。

次に『観光や地域経済の振興、財政改善などの面から、これまでにない経済的社会的効果が見込まれることが示された。』とありました。本報告書を活用しながら、日本型IRについて市民の皆様に説明していくとし、当局は、それを受けて、市内4ヵ所程度で6月下旬から説明会を実施するとしています。

日本型IRについて、市が国に成り代わって(なりかわって)説明し、理解を得(え)ようということは、市民を誘致にむけて誘導するものであり、断じて認められません。カジノ誘致については反対している市民の立場に立ち、この決議をすることこそ必要です。議員の皆さんの賛成を求めるものです。

公約に沿って、中学校給食実施決議を求める請願には賛成を

宇佐美議員:次は、請願第2号 横浜市立中学校における給食実施を求める決議についてです。

今回の統一地方選挙にあたって、市民団体が行った横浜市の中学校給食実施に関する公開質問状に28人の議員の回答が寄せられています。

第一の質問項目は、「横浜市は中学校給食を実施していませんが、全国の状況からみて必要と思われますか」というものです。これに対して日本共産党以外で12人の議員が「必要」と回答しています。実施形態に関する質問には、6人が『ハマ弁の給食』と答えています。

請願は、小学校のような学校給食実施を求めていますが、後段では、実施形態は「行政と議会で検討する」とあるように、特定していません。当然、ハマ弁の給食化についても検討対象の一つとなることを認めるものと解せます。また、中学校給食を願う市民のほとんどが「小学校と同じような給食」を願っていることは、選挙戦の中でたくさんの有権者と接した議員の皆さんであるならば、分かっているのではないですか。

今回の請願は、その有権者の願いそのものだと思います。

選挙戦で、中学校給食実施を公約に掲げられた議員のみなさんは、今回の請願を採択することを呼びかけ討論を終わります。


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