安倍政権の国民に対する無責任きわまりない姿勢について
あらき議員:日本共産党を代表して質問いたします。まず、市長の政治姿勢についてです。
厚生労働省による毎月勤労統計調査の偽装をはじめとする統計不正問題は、安倍政権の隠ぺい姿勢によって実態の解明が進んでいません。のべ約2000万人の雇用保険の給付などに影響を与えた上、政策判断の根幹にかかわる統計不正で、政府の信用を根底から破壊したという深刻な事態を本当に安倍首相は反省しているのでしょうか。
「政府統計への信頼が揺らいだ」75%(「毎日」4日付)、「この問題で政府の対応は不十分だ」83・1%、(「東京」同日付)、「政府の発表する統計を信用できない」79%(「日経」1月28日付)―。と毎月勤労統計の不正発覚後にマスメディアが行った世論調査は、政府統計そのものに対し、大多数の国民が不信と疑念を抱いていることを浮き彫りにしました。日本経済学会は、同問題についての声明で、「日本の統計を通した実証研究の国際的な信頼性も大きく揺らいでいます」と訴え、このままでは「負の影響は計り知れません」と強く警告します。「統計不正は国家の危機」と指摘している有識者もいます。
とりわけ究明が急がれるのは、2004年から続いていた統計不正が、2018年1月からは、ひそかに「データ修正」が行われ、組織的隠ぺいがはかられていることです。さらに2018年1月からは調査対象事業所の入れ替えなどにより、それまで低く出ていた給与総額との比較で「上ぶれ」する結果となったことが大問題になっています。実際、統計偽装の発覚後に再集計した「修正値」では、実質賃金の伸び率は軒並み下方修正されました。安倍政権が盛んに自慢する“賃上げ”は、かさ上げされた数字が根拠だったことを示しています。しかも調査対象の事業所を入れ替えずに計算した場合の実質賃金の伸び率の「参考値」は、野党側の試算でマイナスとなっているにもかかわらず、安倍政権は「参考値」の公表に否定的な態度をとっています。あまりに無責任です。都合の悪い事実を明かそうとしないという隠ぺい姿勢は、国民の不信を増幅させることにしかなりません。
日本の政治をつかさどる最高責任者である安倍首相の、このような国民に対する無責任きわまりない姿勢について、市長の見解をまず伺います。
林市長:安倍政権の政治姿勢についてですが、外交や経済活性化など国の根幹を支える政策は、着実に取り組まれています。一方、女性活躍、少子高齢化対策など、さらに推進すべき課題もあります。また、勤労統計の調査については早期に対策を講じていただきたいと考えております。引き続き市民生活を支える基礎自治体として、国と連携しながら市政を進めてまいりたいと考えております。
「住民福祉の機関」という地方自治体の役割を予算編成に貫くべき
あらき議員:次に予算編成に貫くべき「住民の福祉の機関」という地方自治体の役割についてです。
新年度予算に対する市長の市政方針演説では、国際的ビックイベントを成功させるという考え方が最初に掲げられ、次に集中的に文化観光施策を展開すると述べられました。そして人口減少のもとでの成長戦略に取り組むとして、企業誘致を盛んに強調しています。特に力強い経済成長とし観光立国という国の方針そのままに、企業立地促進条例や特区構想などを使い、MM21地区のホテル建設や民間の再開発事業に規制緩和と多額の補助金を出すことに力を入れています。
その一方で、地方自治体として取り組むべき市民の暮らしに関わる予算では特に福祉や医療などの施策は遅れや不足が目立っています。また、公共施設の防災・老朽化に備えた維持更新も必要な予算となっていません。
2015年3月に発表した公共施設管理基本方針では、建替を含む将来推計で年平均約900億円を必要としていました。
それが昨年12月に改訂され、一般会計の将来推計額から建替費を除いた額は年平均額は約 880 億円となりますが、実際の必要額は、各年度の予算編成において精査するとし、新年度予算における建て替え費を除く保全・更新費は、約690億円となっています。
これは、新市庁舎や高速道路等の完成を2020年に間に合わせるとしたために学校や市営住宅の改修には十分にまわらず、先送りしている事態となっています。本来市民の暮らしに直結している学校や市営住宅、地区センターなどの身近な施設改修こそ優先すべきと考えますが、市長の見解を求めます。
林市長:市民に身近な施設の改修についてですが、31年度は学校特別営繕費が学校の特別教室の空調整備を全校で完了する予算をしっかり確保しています。また、市営住宅の住居内改善の拡充や、建て替えに着手し、スポーツセンターや地区センター体育館の空調設備にも計画的に取り組むなど、市民生活に密着した施設改修を確実に進めます。
あらき議員:特に市民からの要望の高い特別養護老人ホームは600床を目標としながら新年度の着工は449床にとどまっています。また、医療では国民健康保険料の値上げもあり、これらの実態からして、市長は市民の暮らしを守ることを後景においやっているとしか言えません。住民福祉の機関としての地方自治体の役割についての市長の認識を伺います。
林市長:住民福祉の機関としても地方自治体の役割ですが、住民に身近な基礎自治体として暮らしの基盤を支える福祉サービスを、絶え間なく安定して提供する責務があると考えています。31年度予算編成においては、子育て、教育、福祉、保健医療分野の予算に一般会計全体の58.5%を計上しています。財政状況が厳しい中にあって、扶助費等の増加に対応するため、持続可能な制度設計を行い、少子高齢社会に向けた施策を講じています。
花博やオリンピックより緊急性が高い危険崖地対策等にこそ職員増を
あらき議員:さらに問題なのは、花博誘致のために、新しいセクションを立ち上げ、また、花博・オリンピックパラリンピック・新市庁舎・ラグビーワールドカップの4つの事業に市職員を70人増員し推進するとしています。その一方で、大阪北部地震で問題になったブロック塀対策や、命の危険があり急いで対策を講じなければならないと判定された市内1364か所の崖対策を担当する職員は増員していません。予算は組んでも、即座に現場に行き確認してくるなどの職員体制は整えることができていないことを示しています。この様な実態から、市長は市民の命と安全・安心を軽視していると考えますが、どうでしょうか。
林市長:ブロック塀対策等に増員をしないとのことですが、ブロック塀の改善や崖地防災対策の実施にあたっては、民間事業者の力も得ながら、現地確認を迅速に実施していく体制を構築しています。市民の皆様の安全安心な暮らしをお守りする体制は、しっかりと整えております。
【第二質問】
あらき議員:市長の将来にわたる市民の安心安全というお言葉ですけれども、現在のがけ防災対策の職員数は13名です。この人数で今年度の実績は防災助成と減災助成と合わせて申請21件という実態です。南区だけでも急いで対応すべき崖が164か所もあり、全市では1364か所。1年間で21件という申請では、市長の言う安心安全に程遠い実態です。申請件数を増やすためにも現場に行く職員を増やし、崖所有者に丁寧に対応できる体制を作ることこそ必要だと思いますが、その決意はあるかどうか伺います。
林市長:ブロック塀対策で13人で足りるのかという質問ですが、これは今民間事業者の方のお力も得ながら、現地確認を迅速にしておりますので、足りないだろうというご心配はないと申し上げておきたいと思います。これはしっかりとやらせていただきます。
崖地対策も、今年度も増員しておりますので、しっかりとやらせていただきます。ご心配ないようお願いしたいと思います。
国に対し消費税増税の中止を求めよ
あらき議員:次に消費税増税問題について伺います。家計消費も実質賃金もマイナスであるという結果がでています。私は地元の中小企業の社長さんや弘明寺商店街、そして区医師会の先生などに消費税増税についてお聞きしています。 「アベノミクス効果なんて全然ない」。お医者さんからは、「高額な医療機器を購入したが、その消費税が600万円もした。診察料に消費税は転嫁できないのでこれ以上の増税は困る」パン屋の社長さんからは、「今でも飲食関係は売上げは伸びていないのに、これ以上の値上げはできない。消費税は個包装する袋などにも仕入れの時点でかかってくるので、負担が大きい」などなど、どの業種の皆さんからも「増税は中止してほしい」との声が寄せられます。
実際、この間のわが党の国会論戦でも、「消費が冷え込み、賃金・所得が落ち込む中で、庶民には5兆円もの大増税をかぶせながら、空前のもうけを手にしている富裕層への課税は頑なに拒否する、こんな間違った政策はありません」と安倍首相に増税中止を迫っています。市内の中小企業や商店街を応援するためにも、市長は、国に対し増税中止を求める考えはないか伺います。
林市長:消費税率の引き上げについてですが、今後ますます少子高齢化が進む中で、福祉保健医療サービスに対するニーズが増大しています。また、子育てや教育にかかる費用への支援も求められています。反動減対策などを実施し、経済の影響を緩和した上で、あらゆる世代の皆様が安心できる社会保障制度へと転換していくために、消費税率の引き上げは必要です。
【第二質問】
あらき議員:市長、増税実施の10月までまだ時間はあります。市長が常におっしゃる現場主義と言うならば、増税の判断が正しいかどうかも含めて、自ら陣頭指揮をとり、実態調査をして、その影響がどれほど大きいかを掌握してから、判断できると思います。いかがでしょうか。
林市長:消費税の増税につきましては、非常に今、社会保障の一体的な改革の中で決められたことであり、確かに現場を歩いた先生のご感想も私としてはそうであろうかと思いますけど、市の行政を全体的にリードしていく上では、今の状況であっては、やはり消費増税はやむを得ないんじゃないかと思っています。
市民が反対するカジノは、誘致検討を続けずキッパリやめる決断を
あらき議員:次にカジノ誘致についてです。新年度もカジノ誘致のための予算を継続しています。白紙という態度をいつまで続けるのでしょうか。私は地元でカジノ誘致についてのシールアンケートを実施しています。これまでの結果では、9割を超える方が反対の意思表示をしています。地方自治体がカジノ誘致をすること自体、市民の暮らし向上どころか、新たなギャンブル依存症を生み出し、治安の悪化にもつながる、そして横浜のブランドイメージのマイナスになる、というのが、誘致に反対する皆さんの声です。市民の意見を尊重するという立場ならば、今からでも遅くありません。カジノ誘致の検討調査をするまでもなく、やめるという決断をするべきと考えますが、その決意を伺います。
林市長:IR検討の予算についてですが、IRについては、多様なご意見がありますので導入するしないの判断は大変重要な判断にあると認識しています。また、政省令や規則などで定められる事項が多く、現時点においては判断できる段階ではないと考えています。今後も引き続きこれらの情報を収集し分析し、横浜市にとって一番良い方法は何かを考えていきます。
医療・介護・住まいなど福祉充実による市民の暮らし向上を
あらき議員:次に、医療・介護・住まいなど福祉充実による市民の暮らし向上についてです。
まず、国民健康保険料については、保険料負担緩和市費は一人当たりでは今年度と同額を繰り入れ、累積黒字を取り崩して引き上げを抑える努力をしていることは評価できます。特に累積黒字を取り崩すことについては、党市議団として要望したもので、今年度の19.8億円から30.8億円と大幅に引き上げて対応したことも評価しています。
しかし県に納める「納付金」が被保険者一人当たりでは一人当たり医療費の増により、結果的に国民健康保険保料は、今年度の1人あたり年間平均保険料12万4821円から、新年度は12万7118円と上がっています。あと16.4億円を累積黒字から取り崩せば、値上げは抑えられますが、その考えはないか、市長に見解を伺います。
林市長:福祉の充実による市民の暮らしの向上についてご質問いただきました。国民健康保険料の累積黒字の取り崩しですが、31年度の保険料については今年度同様一人当たり医療費の伸びを元に算定しました。これを超えた過重な負担とならないように、約76億円の市費を繰り入れ、31億円の累積黒字を活用しております。この辺はあらき先生にもご指摘をいただいております。市民の皆様への影響を配慮しつつ、制度を持続可能なものにするために加入者の皆様にも一定程度のご負担をお願いしております。
高すぎる国民健康保険料の引き下げを
あらき議員:また、国民健康保険は協会けんぽなどの被用者保険と異なり、世帯員の人数に応じてかかる「均等割」を合算して保険料を計算するため、所得のない子どもの分まで保険料がかかり、子どもがいる世帯の負担が重くなっています。
市としてその負担を減らすために、子ども世帯減免として収入から16歳未満は33万円、19歳未満は12万円の控除をしています。この子ども世帯減免の控除額をさらに拡充し、子育て世帯の負担軽減をする考えはないか伺います。
林市長:子ども世帯減免を拡充するべきとのことですが、子ども世帯減免はお子様がいる世帯の保険料負担に配慮し、26年度から本市独自の制度として減額措置を実施しています。多額の費用を要することから、当面の措置としており、更なる拡充は財源的に厳しい状況です31年度も引き続き現行の制度を続けてまいります。
あらき議員:本市の国民健康保険加入者は、所得階層200万円以下が82%を占めています。医療費が増えると保険料が上がる仕組みでは、収入の少ない方たちにとっては、即、生活破壊につながります。そういう実態があるからこそ、全国知事会は「公費1兆円投入で協会けんぽ並みの保険料に」と国に対し要望しています。国民健康保険料が引き上がらないよう抜本的に制度を見直すことを、国に求めることが今こそ必要だと考えますが、市長の見解を伺います。
林市長:国に対して制度の見直しを求めるべきとのことですが、国民健康保険は、市民の皆様の生活を支える重要な制度であるため、財源措置の拡充などこれまでも本市独自に国への要望を行ってきました。誰もが安心して医療にかかることができるよう、今後も引き続き国に対して制度の見直しを強く要望してまいります。
本人希望はない「差額ベット代」は徴収しないことを患者に説明せよ
あらき議員:次に公立病院における特別療養環境室いわゆる差額ベッド代徴収について伺います。
入院を希望する患者に対し、厚生労働省から通達がでているように、差額ベッドを利用する際は、本人が希望する場合に限っています。患者本人の「治療上の必要」により、差額ベッドに入院させる場合は、差額ベッド代を求めてはならないとされています。
しかし、私の知り合いが、急に視野が狭くなりおかしいとおもって近くの眼科で診察を受けたところ、網膜剥離の診断を受け、市大センター病院を紹介され、即入院手術となりました。その際、「今は一日2万520円の差額ベッドの部屋しか空いてない」と言われ、やむなくそれで手術を受けたと聞きました。
そこで、その方に、ベッドが空いてないということを理由に差額ベッド代を請求されても支払わなくても良いとことを伝え、その方は支払いに行った時に、「説明不足だったと認め、差額ベッド代を支払わなくて済んだ、ありがとう。助かったよ」とご本人からお礼の電話を受け取りました。
そこで、今回の事例から、公立病院において、治療上必要な場合は、差額ベッド代を徴収しないことを入院患者にきちんと説明することを求めますが、見解を伺います。
差額ベッド代は、センター病院では、一日1万1880円から4万1040円、市民病院では、1日4320円から3万4560円まであります。新設する市民病院では、全体のベッド数650はそのままで、差額ベット数を現在の88から倍の178に増やすことにしています。
このように、お金のあるなしで、入院患者を選別するような差額ベッドを増やすことは、公立病院のあり方としては不適切だと考えますが、見解を伺います。
林市長:公立病院における差額ベッドの運用についてですが、利用料金は厚生労働省が定める関係規則等に基づき、患者さんの同意を前提に徴収させて頂いてます。治療上の理由や患者さんがご希望されない場合には、料金の徴収を行っていません。引き続き、患者さんにはより一層丁寧な説明を心がけるよう適切な制度運用に努めてまいります。
高橋病院経営本部長:市民病院の差額ベットでございますが、現病院では、個室が少なく、患者さんの個室希望に十分応えられない状況です。そのため新病院では、個室を増やすことにいたしました。なお、病床に余裕がないために差額ベットをご案内する場合には、料金はいただいていません。
市営住宅の増設を
あらき議員:次に住宅問題です。市営住宅をはじめ住宅確保要配慮者や高齢者の住宅は足りていません。市長は市営住宅新規建設をやらない理由として、民間住宅がありそのストックで足りている、としています。新たに開始した家賃補助付き住宅セーフティネットの到達は、今年度130戸の募集に対して、申し込みは10戸という現状です。既存の民間住宅を活用した制度も併せて進めるべきで、新年度予算で290戸を見込んでいますが、実現性には疑問を持たざるを得ません。
この事業の申し込みが増えない理由として、大家からは孤独死や火災などリスクがあり、それらの対応に係る負担が大きいということを聞いています。そもそも住宅セーフティネットを民間で行うことに無理があることが、申し込み件数の少ない実態から伺えます。
このままでは、民間住宅主導による住まいの確保はできるとは言えず、また、高齢者ほどアクセスの良いところに住みたい現状にあることから、供給量も立地も市が直接コントロールできる市営住宅を、必要な所に新たに建設することが市民の暮らしを守ることになると思いますが、見解を伺います。
林市長:市営住宅は足りていないとの見解についてですが、市内には市営住宅約3万1000戸を含め、県営住宅や公的賃貸住宅が111管区あり、その他にも多くの民間賃貸住宅があります。このような状況をふまえ、市営住宅については、一定規模のストック数が確保されていると考えています。今後は老朽化した市営住宅の建替え等を進め、そしてバリアフリー化など住環境の向上を図ってまいります。
特養ホームの増設計画を急ぎ、古い施設は修繕を
あらき議員:特別養護老人ホームについては、入所するにあたり1年以上かかっている現状を変えるとして、年300床ペースから600床ペースに引き上げることにしましたが、新年度の予算では着工数が449床となった理由について伺います。また第7期計画の整備数は2020年度に600床という目標が達成できるようにするために、どのようにするのか、合わせて伺います。
党市議団として2月5日に行った予算要望懇談会で、「自分の妻が特別養護老人ホームに入所できて良かったが、1990年にできた施設のため老朽化が目立っている。お風呂は週に2回入るのがやっと。せめてウオッシュレットがあれば」という要望を聞きました。この例のように、特別養護老人ホームの老朽化している現状に対し、大規模修繕については、市独自の補助制度を作り推進していると聞いています。しかし年間5施設のペースです。この予算を増やして、対応できる施設数を増やす考えはないか、またその財源は国に求めることもできると思いますが、見解をあわせて伺います。
林市長:特別養護老人ホームの整備状況についてですが、31年度着工分は、民有地国有地合わせて600人分の募集を行いましたが、参加者の国有地に、18法人の応募が集中いたしまして、民有地での応募が少なくなりました。32年度着工分は、前年度の不足分を上乗せした751人分の公募を行います。公募を早期に開始し、応募期間を長く確保して、整備を進めてまいります。
特別養護老人ホーム大規模修繕事業についてですが、31年度の本事業の予算は、大規模修繕の意向がある施設は全て工事が実施できるように計上しております。なお、本事業の財源は、国の三位一体改革において、一般財源化された経緯がございまして、国に財源を求めるのは困難です。
中学校給食の実施を
あらき議員:次は、中学校給食・就学援助・学童保育・児童虐待など子育て支援施策の拡充についてです。
市長は中学校給食を実施することに対し、「今の横浜市の財政状況では大変費用がかかる、長い将来に対して責任を持って持続的に続けていくという、その観点からも考えている」と答弁しています。中学校給食の実施は横浜市の持続可能性を損なうものと考えておられるのでしょうか。
党市議団が視察した宝塚市の市長は「給食はお金に代えられないものだ」との考えで中学校給食を実施しています。市長は、給食はお金に代えられないという宝塚市長の見解について、どう思われるでしょうか、伺います。
林市長:子育て支援についてご質問いただきました。給食はお金に変えられないという考えについてですが、本市では、給食実施に必要な施設整備費に多くの費用がかかるだけでなく、給食室や給食センターの設置に必要な用地がないこと、全校実施まで長い期間を要することなどから、給食を実施することは難しいと考え、中学校昼食の充実のため栄養バランスの取れたハマ弁を導入しております。私は宝塚市長とも親しいのですが、大変情熱的な市民思いの、お子さん思いの市長でございます。こういう形で表現なさっているのは、非常に私としても納得することでございます。ただ、言い訳ではございませんけど、私としても最高に努力もして、皆と知恵を絞りあって考えておりますが、今こういう状況で進めさせていただきまして、もう何度も申しておりますけども、栄養バランスの取れたハマ弁、これは素晴らしいものでございますから、是非とも、何とか先生方にもご支援して頂いてですね、一人でも喫食率が上がればと思います。よろしくお願いします。
【第二質問】
あらき議員:中学校給食の用地がないと先ほど市長はお答えになりました。しかし、私たちが頂いている資料で、例えば南区で言えば、南中学校、南が丘中学校、永田中学校に3校には用地はあります。その答えは撤回していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
そして中学校給食の実施についてです。2022年に緑園都市に開校予定である小中一貫の義務教育学校の説明会で、金沢区西金沢学園で行っているような小学校で作る給食を中学校で実施してほしいという要望が出され、大きな拍手が起きたと地元の方から聞いています。市長、その期待に応える意思があるかどうかを伺います。
林市長:先生が本当に学校中学校給食について力強くお考えを述べられ、そして引き続き共産党様としては、強い市民の皆様のご希望も受けながら、そのことをお話しなさることは本当に良いことであって、私も片や、この立場にいると、色々な市民の方のお声も聞いております。ここはですね、今現在私自信も判断して、色々議論もした結果、中学校給食については、今ハマ弁という形ですね、選択制ということをお願いしたいということでございますから、この用地ついても色々、そうやってご覧になっていると思いますが、今現段階では、中学校給食をやる上でも判断の中で、考えていることでございます。今のあるよということについてはお伺いいたしますが、私の判断は今のように申し上げたということでございます。それから金沢で希望があったということでございますけど、それについてもそういうご希望があったということはこの場でまた改めて確認し、承りましたけども、今の私の答えとしては、今のハマ弁を続けていくということをお返事申し上げたいと思います。
就学援助の基準は、他都市なみに引き上げを
あらき議員:次に、貧困対策について、特に就学援助に限って伺います。市長は、就学援助の基準について生活保護基準の1.0倍であることを妥当と判断している理由として「市の基準が政令都市の中でも高い水準である」とお答えになっていますが、横浜市は他の政令市と比較して物価も高いため、生活保護基準が高いのは当然です。
教育に係る費用負担を減らすためには、この生活保護基準で良しとするのではなく、他都市が実施しているように、1.1倍とか1.3倍に引き上げ、負担が軽減できるようにさらに予算を増やすべきと考えますが、市長どうでしょうか。
林市長:費用負担軽減のための予算を増やすべきとのことですが、31年度は、就学援助や高等学校奨学金等と援助が必要な子どもに対する支援の拡充をはかりました。また、昼食の準備が困難な生徒に対し、ハマ弁による支援を行っていますが、より多くの生徒に支援が行き届くよう、31年度より就学援助等対象者へ拡大いたします。今後も必要な支援が実施できるよう、教育委員会と共に取り組んでまいります。
学童保育への支援強化を
あらき議員:次に、学童保育の存続について伺います。
第2期子ども子育て支援事業計画における放課後児童数は、2020年度2万6953人から2024年度の3万954人と増えることを見込んでいます。
このように、今後の放課後児童数は増えるにもかかわらず、キッズの全校展開により、学童保育の継続が危ぶまれる状況になっています。キッズの箇所数が増えても夕方5時以降の学童保育の利用者数はキッズの6472人に対し、1万496人とほぼ倍です。それは生活の場である学童保育を必要としているからにほかなりません。夕方5時以降の学童保育の利用が1万人を超えている実態について、市長はどう評価しているのか伺います。
学童保育が存続していくためには、対象児童数が標準定数40人以下で小規模の20人未満になっても、正規指導員2人体制を堅持できる運営費を支出することを求めますが、その決意を伺います。
林市長:学童保育の利用が1万人以上であることの評価でございますが、放課後児童クラブいわゆる学童保育は、家庭的な雰囲気の中で過ごせるという特徴があると思います。そのように落ち着いた環境を好むお子さん達や保護者の皆様が選択していると考えます。放課後児童クラブは、子どもたちのための大切な放課後の居場所でございますので、今後もご支援してまいります。学童保育の小規模化に伴う運営支援についてですが、厳しい財政状況の中、職員の処遇改善に取り組むとともに、国の基準を上回る補助額としています。引き続き子どもたちの放課後の居場所の充実に取り組んでいきます。
急増する児童虐待への対応強化を
あらき議員:次に児童虐待対策について伺います。
子育てを安心してできる社会をつくることは政治の責任です。今回、千葉県野田市で起きた虐待によって10歳の女児が死亡するという痛ましい事件を受けて、厚生労働省から横浜市における在宅で虐待の危険がある2400人を対象に、現場での面会を基本に1か月で実態調査を行うとの指示が出ています。実態調査をすることは大事ですが、虐待相談件数が増え続け、2016年度6263件が2017年度6796件と621件も増え、今年度も増えています。そのため、中央児童相談所では、最も超勤が多い職員の月平均は80時間を超えています。職員の疲弊は目に見えています。このような体制では、実態調査を行うのことは厳しいのが現実です。
児童虐待に対する新たな施策を検討すること、その体制強化のための費用や児童虐待対策全般に関して、国にそのための対策費を求めることが必要だと考えますが、どうでしょうか。
林市長:必要経費を国に求めるという考え方についてですが、近年児童虐待対応件数の増加に伴う体制強化を図っていますが、これに応じた国費等を受け入れております。また、31年度からは本市の要望をふまえて、区の児童虐待対応の強化に対しても、新たに地方交付税措置が認められました。手続き必要な経費については、国に要望してまいります。
あらき議員:また、児童虐待対応として、発生時の対応だけでなく、発生を防ぐために、虐待の起こる根本的な要因や背景などを全国的に分析して対応策を検討する必要があると考えます。この点での市長の見解を伺います。
林市長:要因等の分析検討に対する考え方についてですが、厚生労働省等で現在児童虐待に関する様々な角度からの調査研究等を行っています。それらについて、今後も注視してまいります。
あらき議員:横浜市でも虐待によって命が奪われている事例があったことから、2度とこのような悲惨な事件が起きないように、区こども家庭支援課における体制の強化等を図り、新年度では21人の増員を図るとしています。4か所の一時保護所の入所定員161人に対し、直近では180人となり、面談室などを緊急に使って受け入れているのが実態です。必要な環境整備や人員体制等をさらに増やす考えはあるどうか伺って、最初の質問とします。
林市長:必要な人員配置についてですが、国において30年12月に、児童虐待防止対策再生総合強化プランが決定されました。本市としてもこれらを踏まえまして、適切な体制が整えるように検討してまいります。