課題は山積みだが、市民から「ひとまず安堵」の声
8月2日の横浜市教育委員会会議で小学校道徳教科書が採択されました。教科書採択は、教育長と5人の教育委員が、検定合格した教科書から多数決で決めます。同数の場合は教育長が決めます。
横浜市教育委員会は、2015年に中学社会科教科書として、侵略戦争を美化し、改憲を指向する育鵬社版の歴史と公民教科書を採択しています。育鵬社版を選んだ教育委員は3人で、他社を選んだ3人と同数でしたが、岡田教育長の裁決で育鵬社に決まるという経過でした。
「教育出版」には一票も入らず
今回の道徳教科書採択では、8社が検定合格しています。その内、編著者に育鵬社関係者が多い「教育出版」の教科書に市民から「安倍首相の写真掲載はおかしい」「君が代斉唱を押しつけている」など、強い懸念が寄せられていました。
採択当日は、市民約90人が教育委員会ビルに教育出版教科書の不採択を求めるのスタンディングが行われ、会場には、211人の傍聴希望者が集まりました。
採択されたのは「学校図書」でした。「教育出版」には一票も入らず、市民の声が受けとめられました。
異常な〝密室体質”変わらず
未来の担い手である子ども達が使う教科書採択は自治体にとって一大事業です。しかし、会議の直接傍聴が認められたのはわずか24人でした。傍聴抽選を外れた150人を超える人には、資料も映像もなし、会議の音声を聞かせただけです。川崎市では直接傍聴の定員180人以上の会場で行っています。また、採択にあたっては、各教育委員から自身の道徳論を述べられましたが、どの教科書が良いということは表明されません。さらに採択方式は「無記名投票」でした。
公開性と透明性のある教科書採択の実施を
党市議団は、採択に先立って①採択会場は傍聴希望者全員が傍聴できる会場とすること②学校現場の声を聴取する仕組みの導入③採択にあたっては、各委員が適切と判断した教科書について意見表明をおこなうこと④採択時の投票は記名投票とすることなどを申し入れています。
来年は中学校道徳教科書(育鵬社が参入予定)、再来年は中学校の教科書が採択されます。
引き続き、市民に開かれた採択にするために力を尽くします。
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