市政ニュース ・ 見解/声明
2017年3月31日

新教育委員の就任に当たっての見解

2017年3月31日

                         日本共産党横浜市会議員団

                         団 長  大貫憲夫

 3月24日の本会議で、市長より提案のあった二人の教育委員の任命に関する議案が全員一致で採択されました。新教育委員の任期は、4月2日から2021年4月1日の4年間となります。
 そもそも教育委員会は、教育の政治的中立性を保持し、学校教育や生涯学習等の振興を図るため設置された、市長からは独立した執行機関とされ、教育長及び5人の委員による合議制の機関となっています。また、文部科学省は、その特性として①首長からの独立性②合議制③住民による意思決定(レイマンコントロール)の3つをあげています。そして住民による意思決定については、住民が専門的な行政官で構成される事務局を指揮監督する、いわゆるレイマンコントロールの仕組みにより、専門家の判断のみによらない、広く地域住民の意向を反映した教育行政を実現すると説明しています。
 この住民による意思決定という点が、今までの横浜市教育委員会では、極めて脆弱であり、教育委員会事務局主導であったと云わざるをえません。事務局を指揮監督するというチェック機能が働いているとは到底言い切れません。北綱島特別支援学校の閉校、俣野小と深谷台小学校の統廃合などは、地域住民・保護者などの反対の声を一顧だにせず、追認していることは、その典型例です。
 文部科学省のいう教育委員会制度となっていれば、地域住民の意向を反映した教育行政として、教職員人件費が市に移管されたことにより、少人数学級を現行の小学校2年生からさらに拡充する、いじめ問題での適切な対応、就学援助制度の基準拡大と入学準備金の前倒しなどは、合議の上に実施できるものです。中学校給食についても、その実施を積極的に市長に対し建議するべきです。
 チェック機能が不十分なため、小中一貫の義務教育学校の拡大設置、小学校の年間授業時数が20時間も多い横浜版学習指導要領の押しつけ、文部科学省は小学校5年生からとしているのに小学1年生からの英語活動の実施、中学校3年生への英検の実施など教職員の多忙化の要因にもなる施策が目白押しの実態も看過できません。
 また、教科書採択での無記名投票という不透明さと教科書審議会答申で評価の低い教科書採択の強行、小中学校での道徳の教科化の先行実施、南高校・サイエンスフロンティア高校の付属中学校設置、子安小学校移転整備をめぐる大手デベロッパーいいなりの土地の賃貸、そして、死傷者が起きた通学路整備について教育委員会が責任を負っていないことなど、これらについても教育委員会の姿勢が鋭く問われています。
 市民が願うのは、個人的な価値判断や特定の党派的影響から中立性を確保し、子どもの健全な成長発達を促すことのできる教育委員会ではないでしょうか。中立性という点では、「わかるヨコハマ」での関東大震災時朝鮮人「虐殺」記述の削除と当該本の廃棄、小学校での絵本を使い学習指導要領にもない領土問題を題材にした授業を市会議員の指摘・要望を受けて行った事実などは、教育委員会として、政治的中立性としてどうだったのかは検証すべきでした。
 これらの点から、今回新しく変わる教育委員人事によって、教育委員会制度の政治的中立性の確保と、継続性、安定性の確保、そして地域住民の意向の反映が行われることを強く望むものです。
 いじめにあい苦しんできた子どもとその家族に向き合い、この横浜で教育を受けるすべて児童・生徒と教職員のことを第一に考え行動する教育行政になることを期待するとともに、党市議団としても教育条件の向上に努力し、教育委員会に対し必要なる提言をするなど対応をさせていただくことを表明するものです。


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