議会での質問・討論(詳細)
2017年2月22日

■「現年度議案討論」 みわ智恵美議員(2017.2.22)

 みわ智恵美です。私は、日本共産党を代表し、今定例会に上程された議案と請願の内、5件の議案と3件の請願の不採択について反対討論を行います。

市立保育所の民間移管はもうやめよ

 市第134号議案は 横浜市保育所条例の一部改正で、横浜市並木第二保育園など、市立保育園を3園廃止するものです。請願第32号は市立保育所民間移管事業の一時停止等を求めるものです。
 公立保育園の民間移管において、今回は4園、4法人が決まっていましたが、内1法人が、施設長及び主任保育士を雇用できなかったとして辞退しました。
 わが党は、市内法人への民間移管が限界が来ている中で、横浜市の保育事業において重要な役割を担っている公立保育園を民間法人に強引に移管することの合理的理由は「今や皆無」、これ以上の民間移管をやめるべきとの提起をしましたが、市長は、「現在のところ一定数の応募法人は確保できている」と見直す考えのないことを示されました。
 今回の公立保育園の民間移管では、手を上げたのは17法人で、その内訳は市内3法人、市外が14法人。内11法人が県外でした。市内3法人は書類選考で標準以上の点数を獲得し選定されましたが、最終選考で2法人となり、このうちの1法人が辞退したのです。
 これまでにも、市内法人の手が上がらなくなってきたことは見えています。ある年度では、市内法人からのエントリーがゼロでした。市は民間移管にあたっての基本的な考え方における「保育の質の確保・向上」この点には、「広く全国から法人を募集」としていますが、この間、県外からの民間保育園をめぐっては深刻な事件が起こりました。
 県外の法人については問題が起きたとき、市内にある個別の保育園には関われるにしても、その本体法人には監査が届かないのです。県外法人にどんどん移管を進めることは事の重大性についての問題意識が無いと言わざるを得ません。
 横浜市立の保育園では、障害児の受け入れなどで政策的な保育事業を担い、民間との連携で人材育成への支援を行っています。
 市長は、多様なニーズに迅速且つ効率的に対応するため、現行の民間移管事業計画に沿って着実に事業を進めてまいりますとの答弁でした。
 しかし、公立園でも柔軟な対応で保育ニーズに応えています。現場の頑張りに目を向けていない、それこそ、自らの組織を低めて評価するやり方は、信頼を壊すものです。今後保育士確保はなお一層厳しくなり、県外法人に頼る事態は、保育事業をリスクの高い不安定なものにしかねません。これ以上の公立保育園の民間移管はやめるべきです。

下水道料金未徴収問題の責任を、市民に押し付けるな

 次に、市第137号議案、横浜市下水道条例の一部改正についてです。
 この議案は、下水道使用の未徴収等の不適切事務について、再発防止のための条例改正をおこなおうとするものです。
 市の未徴収は、神奈川県内の他都市において下水道使用料の徴収に誤りがあったとの報道を受けて、下水道を所管する環境創造局で本市の状況を確認したところ、1299件、約16億4,100万円の未徴収が判明しました。
 学校、プール、公園、配水ポンプ場など関係局は環境創造局をはじめ水道局、教育委員会など10局に及んでいます。なんと本市関連施設での未徴収は132件、金額で13億300万円となり、件数では1割ですが、金額では約8割を占めることが発覚しました。
 さらに、そのうち9億7900万円が時効で、法的には徴収できないこともわかりました。
 このように未徴収のほとんどが本市部局内部であるにも関わらず、残りの2割をしめる市民と関連事業者への義務規定の追加と罰則である過料の引き上げを行う改正は、市民の視線から見れば、本市行政に最大の原因があるにも関わらず、その原因を解明せずに、市民と関連事業者にその責任を押しつけていることになります。
 まず、なぜ、市内部で長期間放置されてきたのか。水道料金を支払った当該の市施設は、なぜ下水道料を会計に計上し支払わなかったのか、料金の支払い側と受け取る側の双方に不適切がなぜ起きたのか、その原因を解明していません。
 しかも、市施設での未払いが件数で一番多かったのは環境創造局の55件、全体の約半分を占めています。下水道の所管局である環境創造局内部でなぜ この事態が起きたのか原因解明もされていません。
 さらに、対市民と関連業者との関係で最大の問題は条例そのものを無視して来た問題です。再発防止検討委員会の報告書では、その原因を次のように述べています。「所管局では、浄化槽廃止等の場合、条例上は下水道使用開始届が省略できないにも関わらず、これを省略していた」また、「新築等により新たに水道栓を設置する場合、条例上では不要となる現地確認を実施する取り扱いを行い、現地確認が済むまで使用料を徴収しなかった」まま放置していたことなどを挙げています。
 条例どおりに行わず、条例にないことまで行った結果、今回の事態にも結び付いています。公務員が条例を守らない。これは重大なことです。公務労働は信頼性がなくては不可能です。
 この本市行政の最大の問題を解決せずに条例を改正しても、役所が同じことを繰り返せば、条例改正は何の意味も持ちません。
 相模原市、秦野市、海老名市など市長が、その責任を明らかにしたように、行政のトップである市長と環境創造局長が市民に対し、この問題で謝罪し、行政的な責任をとり、再出発することが先です。以上の理由で、条例改正には同意できません。

MICE施設のために緊急輸送路を廃止するのは防災対策の後退だ

 次は、市40号議案で、横浜市道高島台第302号線の廃止についてです。みなとみらい21中央地区20街区MICE施設整備事業で、神奈川県の第一次緊急輸送道路の市道高島台第302号線の一部、いわゆる港湾2号線を、不足するMICE事業用地に充てるために廃道にしようとするものです。
 港湾2号線は、横浜市に4カ所しかない耐震岸壁のうちの2つに直結している第一次緊急輸送路で、2011年の東日本大震災をうけて、緊急輸送路に追加指定された道路です。
 緊急輸送道路の指定解除は本市防災計画の記述を修正する重大な事項です。にもかかわらず、この手続きに震災対策の司令部たる危機管理室の関与が記録にありません。震災対策など二の次とする極めて無責任な対応です。
 また、多額の資金を投入して建設した幅21m〜28mの高機能の公共施設である道路を廃道とすることは、建設に要した費用をドブに捨てるに等しいムダ遣いです。
 新たなMICE施設建設のための廃道に対して、請願27号と請願28号が出されています。請願を出された地元住民のみなさんは、「防災・地震対策よりMICE施設整備を優先する政策は市民として納得できません」と「廃道」の 中止やホテル建設の問題を指摘しています。
 MICEと一体とされるホテル部分ですが、会員制ホテルと一般ホテルとで9,475㎡もの敷地を占めます。廃止される港湾2号線の面積が約9,600㎡であり、ホテル用地のための廃道ともいえるものです。しかし、会員制ホテルはそもそもMICEとは無関係です。しかも、住民説明会で、ここの一般ホテルはスタンダードルームでも55㎡もあり、五つ星ホテルクラスとの説明もあり、一般の会議利用者向けとは思えない仕様であることが明らかとなっています。
 今年の夏にはこの新たなMICEが整備される20街区の目の前に ホテルが完成するのを始めとして、臨港地域での新たなホテル建設が、次々と予定されています。ですから新たなホテルをここに必置とする根拠は極めて希薄です。
 20街区面積の43%も占めるホテル建設を見直せば、緊急輸送道路である市道の廃道は必要ありません。

子安小学校移転用地取得に伴う三菱地所の横暴を認めるな

 4番目は、市第147号議案子安小学校移転新築工事(第2工区建築工事)請負契約締結.と合わせて、市第148号議案のうち、「小中学校整備費」の「繰越明許費」についてです。
 神奈川区の子安小学校では、近年、学区内で大型マンションの建設が相次ぎ、昨年5月1日現在で、すでに児童数が970人にもなり、教室不足で校庭にプレハブ校舎を建てて対応しています。この学習環境改善のため、また更に今後も児童数が増えることが予想されているために、児童数に見合った校舎整備が必要となりましたが、現校地では狭いために移転するものです。  
 私たちは移転そのものに反対していません。しかし、移転先用地の取得手法には同意できないため議案には反対です。
 当該地域でマンション建設を進めてきた移転用地所有者の三菱地所レジデンスの要求するまま、市教育委員会は現子安小用地を主な対象とした等価交換による土地取得を承諾しました。子安小の現校地は、小学校として使用中のために、結果的には等価交換が未だ完了していません。それでも、移転先予定地での建設事業は進めなくてはならず、横浜市は三菱地所レジデンスと土地の賃貸借契約を結びました。横浜市が支払う賃借料は、年間約3億円ですから4年間の賃貸契約期間では12億円にもなります。年間の地代3億円は土地評価額51億円の6%にあたります。それは相場の上限値です。
 等価交換にあたって三菱地所は、子安小学校用地の駅に近い南側の部分だけを求め、北側の部分は所得せず、別の市有地を求めています。この駅近の南側の用地にマンションが建設されれば、マンションの日蔭となる北側の細長い土地が横浜市に残されるという事態が予想されます。
 また、土地の事前調査費とその処理費を全額横浜市が負担するとの覚え書きの見直しも含め、企業に対して社会的責任をはたし公平な取引をするよう働きかけることを求めます。今回の等価交換によるやり方は改めるべきです。
 子安小に関しては、考慮すべき点はこれだけではありません。既存の公園プールを廃止して、その代替機能を、移転先の学校プールに持たせるという手法についても疑問を持たざるをえません。学校プールという教育施設に市民利用施設機能を併用することは、子どもたちにとっても、地域住民にとっても使い勝手が悪くなることは否めません。地域の合意と納得がえられる方策を改めてとるよう求めます。

不明瞭な文化体育館整備費の増額は市民理解を得られない

 最後に、市第148号議案のうち、「横浜文化体育館整備事業の予算外義務負担の変更についてです。
 横浜文化体育館再整備事業は民間の資本を活用するPFI事業方式で入札公告しましたが、入札説明会への参加があったものの、入札辞退となり事業者を再公募することになりました。事業者は「建設費や金利が当初の想定より高くなった」旨を述べ、辞退されたとのことです。これを受けて、市は想定事業費の見直しを行い、265億円を314億円に変更、債務負担額を280億円から320億円に40億円増額しました。
 この見直し作業のなかで、看過できない問題点が浮上しました。それは、約200億円の建設費を事業者に融資する金融機関が、日銀のマイナス金利政策のなかで、想定金利を5割も引き上げたことです。メインアリーナの興行等に不安を抱き、事業の安定性に疑問を持っていることは明らかです。文化体育館は、横浜市民が誇る施設です。だからこそ再整備は、運営に大きなリスクがあると金融機関が判断しているPFI事業ではなく、リスクのない公共発注にするべきです。
 以上で、討論を終わります。

 


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